キッチンの雰囲気は、料理をする気持ちにも影響が出るものです。
ただ、いくらピカピカに磨き上げたとしても、今あるキッチンの形や色を変えることはできません。
しかし、カッティングシートを使えば、色の面から自分好みの雰囲気に近付けることが可能です。
流しや吊り戸棚の扉は、いわばキッチンの顔です。
その大事な場所を、色を使って雰囲気を変えてみませんか?
ここでは、キッチンの扉にカッティングシートを貼るためのノウハウをご紹介します。
「カッティングシート」は「装飾用シート」の仲間
塩化ビニル系のシートに糊が付いたものを、装飾用シートと呼びます。
カッティングシート・リメイクシート・壁紙シートなど色々な名前がありますが、全部装飾用シートです。
しかし、「カッティングシート」の呼び方の方が通りが良いのではないでしょうか。
実は「カッティングシート」は「中川ケミカル」という会社の商標です。
半世紀以上の歴史を持つカッティングシートは、装飾用シートの代名詞のような存在なのです。
ですから、ここでも「カッティングシート」で通すことにしましょう。
もともとカッティングシートは、主に商業的な目的で使われるものでした。
イベントの看板やショーウィンドウなどです。
それが、伸び縮みする特徴や剥がれやすい性質から、近年DIYでも注目を浴びています。
家電に貼ったりウォールステッカーにしたり、ちょっと貼ればインテリアのイメージを自由に変えられるアイテムとして人気が出ているのです。
また、「剥がれやすさ」が原状回復に向いていると賃貸住宅でのDIYで話題を呼び、小物だけでなく、汚れやすいキッチンの扉や壁に貼って楽しむ方が増えたようです。
キッチンの扉にカッティングシートを貼る前に①注意点
キッチン扉のカッティングシートの色柄は、お好みのものを選ぶことができます。
しかし、事前に知っておきたいことはあります。
例えば、柄ものは柄合わせが必要不可欠です。
木目調で木目を横にしたい場合、もしシートに十分な長さがなく、隣と木目を合わせられなければ、連続性が途切れて不自然な仕上がりになってしまいます。
また、縦にする場合でも、引き出し部分では縦のラインがずれてしまいがちです。
しかも、扉の大きさがまちまちだったり、引き出しが付いているキッチンの場合には、さらに作業が大変になってしまいます。
もし、柄合わせに自信が持てなければ、柄の目立たないものを選ぶか、あるいは柄ものは諦めて単色シートを選んだ方が無難です。
もう1つ気をつけたいのが、カッティングシートにも耐用年数があることです。
耐用年数を超えると、端が剥がれてきたり、剥がすときに糊が変質してきれいに取れにくくなったりします。
また、インテリアで使う場合には、車のステッカーなどで使う長期用シート(耐用年数5年以上)ではなく、インテリア向けの短期用シート(3年以下)を選びましょう。
長期用シートは粘着力が強いために剥がすときに苦労し、最悪の場合、表面を傷めてしまいます。
そのため、もし賃貸住宅にお住まいなら、耐用年数の短いものを選び、1年から2年、長くても3年で貼り替えるつもりでリフォームしましょう。
キッチンの扉にカッティングシートを貼る前に②道具を揃える
カッティングシートでリフォームすることにしたら、まずキッチンの扉の縦横の長さを測りましょう。
扉の分だけ四角形を描いて、それぞれ測った数字を四角の横にメモします。
そこから必要なカッティングシートのサイズを割り出しましょう。
ロールタイプのカッティングシートなら、扉の回りに3cmくらいずつ余裕を持たせて大きめに計算します。
カットされて売られているタイプも同じで、3cmほど余裕を持たせた上で、何枚必要かを割り出してください。
必要な長さのシートが手に入ったら、次は道具を準備します。
【準備するもの】
・ドライバー
・はさみ
・カッター
・ヘラorタオル
・定規
「ヘラ」はシートに空気が入らないよう、貼るときに上から押さえるのに使います。
ロールタイプのシートを買うと、スキージーと呼ばれるプラスチックのヘラが付いてくることもありますので、入っていればそれを使いましょう。
なければ、カッティングシートの表面を傷つけず、上から押さえられるヘラ状のものであれば、定規でも何でも大丈夫です。
それもないようなら、タオルを丸めて、小さな円を描くように少しずつ貼っていけば同じ効果が得られます。
キッチンの扉にカッティングシートを貼る前に③下準備
道具がそろったら、早くカッティングシートを切りたいところですが、あと2ステップ必要です。
まず、キッチンの扉に取っ手がある場合には、それをドライバーで外してカッティングシートを貼りやすくしておきます。
次に、扉の表面をきれいにしましょう。
油汚れがあると粘着力が落ちますし、ゴミがあればそこが浮いてしまいますので、中性洗剤を使って丁寧に表面の汚れを落とします。
汚れが取れたら、水拭きをして洗剤をしっかり落とします。
その後、扉表面の乾燥タイムを兼ねてシートを切っていきます。
カッティングシートは、どんなにきちんと測って慎重にカットしても、ぴったり合わせるのは難しいものです。
ですから、最初は少し大きめに切り、後で余った分をカットしながら貼っていきます。
まず、カッティングシートをメモを見ながら切り出します。
扉に番号を付けてシートの裏にその番号を書いておくと、サイズ違いの扉があるときに便利です。
周囲に3~4cm余裕を持たせたいので、メモをしたサイズ+6~8cmでカットしましょう。
単色の場合は大雑把で構いませんが、柄合わせの必要なシートの場合は模様の中心を決め、慎重にカットしてください。
カットが終わったら、扉の上になる部分を柄のある方へ3~4cm折り返し、折り目を付けて扉の1番上の辺に合わせるための目印にします。
キッチンの扉にカッティングシートを貼る
キッチンの扉のように面積の広い場所にカッティングシートを貼るときには、裏のシートを少しずつ剥がしながらゆっくり貼るのが、きれいに貼るコツです。
ですから、まず10cmほどシートをめくって、扉の上の部分から貼り始めましょう。
折り返し線を扉の上の辺に合わせて貼ります。
ヘラやタオルで少しずつ押さえて空気が入らないように密着させ、また少しシートをめくって押さえる、を繰り返します。
全部貼れたら、余った部分に定規を当てながらゆっくりカッターで切り取りましょう。
これで1面出来上がりです。
そして、このようにカッターで切り続けていると、刃に接着剤が付着して次第に切れにくくなります。
切れ味が鈍ると仕上がりに直接影響しますので、早めに刃を替えながら、常に切れる状態を保つように気をつけましょう。
シートを貼り終えたら、扉に取っ手を戻します。
このとき、新しい扉に合った取っ手に付け替えるのも悪くありません。
ただし、賃貸住宅の場合は、もとの取っ手をなくしてしまうと原状回復ができませんので、退居するまで大切に保管しておきましょう。
カッティングシートをきれいに剥がすには?
カッティングシートは、剥がすことを前提に作られていますので、他のシートより剥がしやすいのは間違いありません。
しかし、毎回きれいに剥がれるか、と言いますと必ずしもそうではありません。
耐用年数を超えて貼っていたり、温度・湿度の関係で、接着剤がべったり張り付いてしまうことは珍しくないのです。
その結果、無理に剥がそうとして土台を傷つけてしまい、原状回復ができなかった、というトラブルが少なからず起きています。
カッティングシートは、ガラスのようツルツルした面にくっ付くのが得意ですので、メラミン加工されたキッチンの扉にはよく付きますし、よく剥がれます。
しかし、同じメラミン加工でも、表面に細かい傷がたくさん付いていたりすると、その傷に接着剤が入り込んで取れにくくなってしまいます。
残念ながら、糊残りはどうしても避けられない問題なので、これを緩和するには耐用年数以内で張り直すよう心がけましょう。
そして、剥がれないときには、シール剥がし剤を使って時間をかけて剥がしてください。
べたべたの糊残りは、重曹を水を垂らし、ペースト状にしてこすると早く取ることができます。
ただし、重曹の研磨作用で扉の表面に傷が付く恐れもありますので、頑固な部分だけそっとなでるようにこすってください。
カッティングシートマジックを味わい付くそう!
扉の数にもよりますが、実際に作業を始めてから終わるまで、だいたい4~5時間と言ったところです。
色や柄は選び放題、100円均一のお店のカッティングシートで手軽に始めるも良し、本格的なシートでモダンに仕上げるのも良しです。
もしトライするときは、ぜひシートを貼る前と貼った後のキッチンを写真に撮って、ビフォーアフターの感動を味わい尽くしてくださいね。