カーペットに付いてしまった血の汚れはどのように落とせばよいでしょうか。
まずは、血の成分であるタンパク質の性質をしっかり理解しておきましょう。
血の落とし方には、タンパク質を分解する様々な酵素の利用から、漂白剤、重曹、消毒薬やアンモニア水をはじめとする多くの方法があります。
血のシミの大きさや血が付着してからの時間の経過具合、カーペットの素材などによって、最適な方法を選びましょう。
カーペットに付いた血はどうして落ちないの?
血で衣服などを汚してしまった経験はありませんか。
シミになってしまい、なかなか落とせず困った方も少なくはないでしょう。
特に、カーペットに血が付いてしまうとすぐに洗うことも難しく、どんどん毛足の中に染み込んでシミになってしまいますよね。
ここでは、カーペットに付着した血の落とし方を考えてみます。
そもそも、筋肉や内臓、血や髪の毛などの人の体の2割を占める成分が、タンパク質でできていることはご存知でしょうか。
その中でも、血の成分には様々な種類のタンパク質が含まれているのです。
例えば、フィブリンという凝固性タンパク質が血小板や赤血球と複雑に連結して、かさぶたを形成するといわれています。
つまり、血に含まれるタンパク質が固まるから、怪我をして出血しても時間とともに止まるということになりますね。
このことからもご理解いただけると思いますが、衣服やカーペットに付着した血が落ちにくいのは、血に含まれるタンパク質が固まることが要因になっているのです。
カーペットについた血の汚れの対処に当たって、まずは、このタンパク質の性質をしっかり念頭に入れておきましょう。
カーペットの血を落とすならスピード感が大切!
血は乾くとすぐに固まってしまいます。
固まる要因は前章で示したようにタンパク質にありますので、血の汚れを落とすには、酵素を使ってこのタンパク質を分解する方法しかないといわれています。
ここで、重要なのが「乾くと固まる」ということです。
カーペットなどに血が付着した場合、乾く前にすぐに落としてしまえば、固まってシミになることを防げるということになりますね。
血の落とし方の1つ目のポイントはスピード感です。
小さいサイズのラグなどでしたら、すぐに床面からはがして血の付着部分だけを水で洗い流しましょう。
しかし、カーペットの素材によっては水洗い不可のものがありますし、お部屋全体に敷き込んであるものはそう簡単にはがすことができません。
また、汚した範囲が大きかったり、外出先でのことでしたら洗い流すことはとても難しくなります。
このように水で流せない場合は、血が乾いて固まる前にティッシュなどで吸い取りましょう。
血が固まらないうちにしっかり吸い取った後、タオルなどを水で濡らして叩きながら拭き取っていきます。
とにかく、血を落とす作業は時間との勝負になりますので、応急処置が大切になります。
血を落とす際の注意点!お湯を使わない!
カーペットなどに付着した血の落とし方の2つ目のポイントは、お湯を使わないことです。
これは、絶対やってはいけないという大事な注意点でもあります。
洗濯の際には、お湯を使った方が汚れが落ちやすいというのが一般的な見解ですよね。
衣服などについた泥汚れや皮脂汚れ、食べこぼしなどによる油汚れなどを落とすのなら、水で洗濯するよりお湯を使った方が効果があるといわれています。
しかし、血の汚れだけは異なります。
お湯を使用することで、血の成分であるタンパク質が固まる作用を促進してしまうのです。
衣服に付着した血の汚れを落とす際も、他の洗濯物と同じ要領でなんとなくお湯に浸け置きしておいたり、お湯を使って洗い流してしまうと一気に血が固まるので注意が必要です。
綺麗に血のシミを落とそうとしていたのに、余計に落としにくくなってしまいます。
カーペットに血が付いた部分をタオルなどで拭き取る際でも、30℃以下の低い温度のぬるま湯か水を使って絞ったものを使いましょう。
また、丸洗いできるカーペットなら、高い温度のお湯で洗濯することだけは避けましょう。
カーペットの血の確実な落とし方!ポイントはタンパク質の分解!
カーペットに付いた血の落とし方のポイントの3つ目は、タンパク質の分解です。
「タンパク質分解酵素」というものをご存知でしょうか。
専門的に説明すると、タンパク質のペプチド結合を加水分解する酵素の総称を「タンパク質分解酵素」と呼びます。
消化液に含まれる酵素でしたら、胃液に含まれるペプシン、膵液に含まれるトリプシン、小腸に含まれるペプチターゼなどが挙げられます。
タンパク質は、このような体内の消化器官にある「タンパク質分解酵素」によって分解され、消化されて体内に吸収されていくのです。
例えば、料理番組などでお肉をヨーグルトに漬けて、柔らかくしているのをみたことはないでしょうか。
これは、ヨーグルトに入っている「タンパク質分解酵素」の働きで、お肉のタンパク質が分解されて柔らかくなることを利用した調理方法ですね。
実は、このようなタンパク質を分解する仕組みは、実際に工業用洗剤などにも取り入れられています。
つまり、タンパク質が固まることでシミになってしまったカーペットなどの汚れも、このタンパク質分解酵素の力で分解して落とすことが可能なのです。
特に、時間が経過してシミになった血を落とすのに、タンパク質の分解を利用する方法はとても有効的だといわれています。
こんな所にもタンパク質分解酵素が!?身近なものを使った血の落とし方!
ここでは、「タンパク質分解酵素」を活用した、カーペットに付いた血の落とし方について2つご紹介します。
1つ目はコンタクト用洗浄液を使った方法です。
洗浄液の主成分には、コンタクトの汚れを分解するためにタンパク質分解酵素が使われていますので、血による汚れにも効果的といわれています。
カーペットについた血を落とす際は、この洗浄液を綺麗なタオルなどに少量取り、血の付着した部分に叩くようにのせます。
少し放置してから、水で固く絞ったタオルで拭き取ります。
血が付いた部分の外側から内側に向かって、シミを広げないように拭き取りましょう。
2つ目の裏技は大根おろしを使った方法です。
大根おろしに含まれるジアスターゼという酵素が、タンパク質を分解することで血の汚れを落とすことができます。
手順としては、大根をおろしてガーゼで汁のみを搾り取ります。
この大根おろしの汁を、カーペットの血が付いてしまった部分にトントンと優しく馴染ませます。
その後は、コンタクト用洗浄液の時と同じように水拭きして完了です。
意外と思われるかもしれませんが、このような日用品や食品で、血の汚れを落とすことができるのです。
カーペットに付いた血の確実な落とし方は?
前章で紹介した方法以外で、カーペットに付いた血のより確実な落とし方もご紹介しておきましょう。
血による色素をしっかり落とすためには、酸素系漂白剤を使用する方法をおすすめします。
カーペットの素材の色落ちを気にすることなく、シミを落とすことができるといわれています。
手順としては、酸素系漂白剤を薄めたものを歯ブラシなどに取り、カーペットの血の付着した部分に擦り付けます。
少し時間を置くと汚れが浮いてくるので、乾いたタオルなどで吸い取ります。
その後、水で固く絞ったタオルと乾いたタオルで交互に拭き取りながら乾かします。
かなり時間の経過した血のシミにも効果がある方法といわれていますが、どうしても綺麗に落としきれないようでしたら、タンパク質汚れに強い重曹も一緒にお試しするといいでしょう。
酸素系漂白剤に重曹を混ぜることで、漂白作用が活性化されより洗浄力がアップするといわれれています。
これらを使用する際は、カーペットの端などに少量を付けてみて色落ちがないかをしっかり確認しておきましょう。
血の汚れを落とす方法は多様多種!最適な方法を選ぼう!
カーペットに付いてしまった血の汚れの落とし方にはさまざまな方法があることが分かりました。
まずは、血の成分であるタンパク質の性質から、素早く対処することとお湯を使わないことを念頭に置いておく必要があります。
そして、付いてしまった血の大きさやカーペットの素材によって適した方法で対処しましょう。
今回ご紹介した方法をぜひ参考にしてみてください。