一昔前までのマッサージチェアは、機械的に揉み玉を動かして背中を刺激するだけといったものが多かったようです。
しかし、ベーシックなモデルでも細かいコンピュータ制御が基本となりつつある近年では、より人間の手によるマッサージに近い揉み心地を実現できているものが増えてきています。
今回は、そんなマッサージチェアの進化と実際の効果についてご紹介します。
そもそもマッサージチェアは本当に効果があるのか?
マッサージチェアの効果として見込めるものは、疲労の回復、血行の促進、筋肉のこりをほぐすこと、神経痛や筋肉痛の痛みを緩和することなどです。
これらの効果に付随して、副交感神経が優位になってリラックスできる効果も期待できます。
このような効果をマッサージチェアのメーカー各社はうたっているのですが、果たして本当のところはどうなのでしょう?
結論だけを言いますと、「効果がある場合がある」ということになるかと思います。
使用する人が何に重点を置いているかにもよりますが、マッサージチェアの使用によって体に何かしらの影響を与えることができるのは確かです。
そのため、使い方によっては効果がある場合があるという風に思ってください。
マッサージ機の種類とマッサージチェアの特長
マッサージをしてくれる機器として販売されているものには、実にたくさんの種類があります。
こりのある部分に押し当てて使うハンディータイプのものや、足裏とふくらはぎ専用のフットタイプのもの、また、低周波治療器もマッサージ機の一種と言って良いでしょう。
これらの部分タイプのマッサージ機の機能を一台にまとめた、言わばオールインワンの存在が、マッサージチェアです。
マッサージチェアは体を包み込むような形状で、全身を満遍なく揉みほぐす効果があります。
近年では高機能化が進み、足先から手・腕、首に至るまで、こりやむくみなどが生じやすいあらゆる部位をカバーしてくれているものが増えています。
各メーカーとも、あんまによるプロのマッサージに少しでも近付こうと研究・開発を進めており、揉み玉の形状を人間の手の形に近づけたり、AIでマッサージの動きを再現したりと、どんどん進化しています。
マッサージチェアの価格帯は?どのくらいのものを買えば効果を実感できる?
最新技術による高機能化は、我々消費者にとっては嬉しいことである半面、その分価格が手の届かないものになってしまっては意味がありません。
確かに中には数十万円もする、医療機器顔負けの高機能・高額の商品も存在しますが、売れ筋でなおかつ機能面も効果も十分なものは、5万円から10数万円程度で入手できます。
3万円前後でもきちんと全身を揉みほぐしてくれる機種も存在しますが、マッサージチェアは現在でも日進月歩の業界なので、やや型落ち感のある安価なモデルはあまりおすすめできません。
前述したようなプロのマッサージ師に近いような揉み・叩きを十分に再現できているような製品になると、やはり10万円程度の予算で考えた方が無難です。
しかし、「10万円をいきなり支出するのはハードル方が高い」という方も多いでしょう。
そんな方には、イスに敷くタイプのマッサージ機がおすすめです。
クッションのように敷くだけで、ご自宅にあるイスがマッサージチェアに早変わりする、というタイプの製品ですが、なかなか高機能なものも多く、価格も1万円を切るようなものが各種発売されています。
まずはお試しでこのような商品から始めて、徐々にグレードアップさせてみるのも良いと思います。
より効果的にマッサージチェアを使う方法
まず、ある程度体が温まっている状態で使うのがおすすめです。
高機能な機種に温熱機能が付いているものがあるように、筋肉の緊張状態を温めてほぐしてからの方が、マッサージチェアの効果も上がります。
よく温泉や銭湯の入り口などにマッサージチェアが置かれていますが、これも体を温めてから使用するのが良いという点で理にかなっています。
ご自宅で使用する場合も、入浴後などの体が温まって筋肉がほぐれた状態のときに使用するのが良いでしょう。
また、マッサージチェアの設定に関しては、とにかく「痛くないことが大前提」と覚えておいてください。
これはマッサージ師さんに施術してもらうときでも同様ですが、筋肉を刺激して痛みを感じるということは、筋繊維を傷つけてしまっている可能性が高いということになります。
いわゆる「揉み戻し」の状態になって、疲労感や倦怠感の原因にもなります。
せっかくのマッサージチェアがこれでは台無しです。
最近のマッサージチェアは使う人の好みに合わせて細かく設定できる機能が充実しているので、痛みを感じない程度の心地よい刺激を探ってみてください。
せっかくマッサージチェアを使うのですから、効果を最大限体感できるよう、工夫してみてください。
マッサージチェアを使う上での注意点
マッサージチェアを使用していると、気持ちが良くてついウトウトとしてしまうようなこともあるかと思います。
それはそれで良いのですが、眠ってしまう恐れがある場合は、必ずタイマー機能を使ってください。
マッサージチェアの一回の使用時間は15分から30分程度に抑えた方がよく、それ以上長く使用するのは逆効果になる可能性があります。
具体的には、血行が阻害される要因になったり、血圧の上昇などの症状が現れる危険性が高くなるなどです。
また、運動直後もマッサージチェアの使用には適さない状態です。
運動後は筋肉が興奮状態になっており、さらにダメージも負っている状態なので、強度の高いマッサージによる刺激はこれらの状態の回復には向きません。
なおかつ、血圧のが急激に上昇する可能性もあるので控えましょう。
プロスポーツ選手が試合後に受けるマッサージなどは、クールダウンを目的としたものです。
マッサージチェアは、基本的にこのような用途のためには使用できませんので注意しましょう。
マッサージチェアを使用してはいけない場合
体の状態によってはマッサージチェアの使用を控えなければならない場合もあります。
体に対して圧力を掛けることが厳禁な方は、使用前に医師等に相談することをおすすめします。
同様に、肩に脱臼ぐせのある方も、刺激の強いマッサージチェアの使用は控えた方が良いでしょう。
ただし、肩以外の部位、たとえばふくらはぎ限定のモードに切り替えて使用するなど、工夫をすれば効果が得られます。
また、風邪などで熱発している状態の方や、皮膚に炎症のある方なども、使用は控えてください。
その他、特に低周波機能が付いているタイプのマッサージチェアなどの場合は、ペースメーカーや心電計などの医療機器にご作動を生じさせる恐れがあるので、これらを装着されている方は使用厳禁です。
マッサージチェアを使うことで体のこりを取ったりリラックス作用が期待できる反面、注意すべき点があるということも覚えておくようにしましょう。
マッサージチェアは心地よい刺激が大事!
どんなに高機能で満足度の高いマッサージチェアが増えてきていても、使い方によってはそれを台無しにしてしまう可能性があることがご理解いただけたかと思います。
人の手によるマッサージでもマッサージチェアでも、程よい刺激を受けて体をリラックスさせることが大切です。
大手の家電量販店などでは多くのマッサージチェアを試すことができるので、ご自身が一番心地よいと感じる機種を探してみてください。