アメリカの映画などの1シーンで、大きなダブルベッドに、たくさんの枕やクッションが並べてあるのを見たことはありませんか。
日本では見かけない、日本の家屋には置けないくらいの大きなベッドですが、一般的なアメリカのベッドサイズはどれくらいなのでしょうか。
また、なぜ枕をたくさん置いておくのでしょう。
今回は、アメリカと日本のベッドの違いについてご紹介していきます。
日本のベッド事情
現在、日本でもアメリカのように、ベッドを使って寝ている人が多くいます。
古くから日本人は、畳の上に布団を敷いて寝ていたと思われがちですが、はるか昔の奈良時代にベッドは中国から渡ってきていました。
正倉院には、そのころに使われていたベッドが保存されていて、身分の高い人たちは日常的に使っていたようです。
その後、平安時代に畳が現れ、生活様式が変わるのですが、いずれにしてもベッドは一般には普及しませんでした。
明治に入り、イギリスに渡った日本人がベッドという文化を日本に再び持ち込みます。
1926年には、「日本羽根工業社」(JAPAN BEDDINGS MFG.CO., LTD.)を興し、これが日本初のベッド製造会社です。
しかし、これまでの「布団で寝る」という習慣や住宅の広さの関係で、ベッドは病院などで使われるか一部の裕福な人たちの間で使われるだけでした。
その後、1940年にはマットレスの生産を開始し、一般への販売も開始されたのですが、当時の時代背景からベッドではなく布団の製造が優先されました。
日本にベッドが普及しはじめるのは、1960年代に入ってからです。
日本人の生活スタイルが欧米化する流れに乗り、ベッドも普及していきました。
しかし、日本の住宅はアメリカほど広くはありません。
そこで、日本の住宅や体型に合った、日本独自のサイズのベッドが開発されていったのです。
アメリカと日本のベッドサイズは呼び方が違う
このように日本のベッドは、独自の方法で生産されてきたので、アメリカと比べるといくつかの違いがあります。
アメリカと日本では、サイズも違いますが、呼び方も違います。
まずは、日本から見ていきましょう。
・セミシングル 90cmx195cm
幅が90cmと狭く、ひとり用ではありますが、2台並べて使うのが一般的です。
幅80cmのものもあり、スモールセミシングルと呼ばれることもあります。
90cmのものを2台並べるとキングサイズ、80cmはクィーンサイズと同じ大きさです。
ひとり用として使う場合は、幅が狭いため省スペースですむというメリットはありますが、同時に寝返りがしにくいというデメリットもあります。
・シングル 97~100cmx195cm
6畳間の4分の1から3分の1を占める大きさで、ひとり用として最も普及しているサイズです。
ベッドの真ん中に横になると、左右に20~25cm程度の余裕ができますが、このサイズがベッドの基本的なサイズと言われています。
・セミダブル 120~122cmx195cm
シングルサイズより少し大きめのサイズで、ベッドに横になると左右に30cm程度の余裕ができます。
シングルサイズが窮屈に感じる人や、ゆったりしたスペースを確保したい人におすすめです。
シングル、ダブル、セミダブルは、日本では一般的なサイズとなっているため、このサイズに合った寝具もたくさん販売されています。
日本はアメリカよりもベッドサイズの種類が多い
引き続き、日本のベッドサイズを見ていきましょう。
・ダブル 140cmx195cm
ふたり用ベッドと言えば、ダブルベッドと思われがちですが、ふたりで寝るには寝返りがしにくく、狭さを感じるサイズです。
海外のホテルなどは、ダブルベッドはひとり用として扱われています。
・クイーン 160~170cmx195cm
このサイズでしたら、ふたり用としても無理なく使えます。
しかし、一般的な日本の住宅にこの大きさのベッドを置くと、部屋に余裕がなくなってしまうでしょう。
・キング 180~195cmx195cm
クィーンよりも大きく、日本のサイズでは大きなものになります。
ふたりでゆったり寝ることができるサイズですが、やはり日本の住宅には大きさが合わないようです。
クィーンやキングの場合、先にご紹介したセミシングルをふたつ並べて、大きなベッドのようにして使う方法が増えてきています。
日本の住宅事情として、大きなベッドを運びこめないということの他に、ベッドに合った寝具類が少ないことも挙げられます。
今回ご紹介した他に、ワイドシングル、ワイドダブルなどの長さは同じでも幅が違うサイズや、幅は同じでも長さがあるロングサイズなど、日本のベッドはサイズが細かく分類されています。
では、アメリカのベッドサイズにはどのようなものがあるのでしょうか。
アメリカのベッドサイズ
それでは、アメリカのベッドサイズを見てみましょう。
サイズは、いずれもin.(インチ)をcm(センチメートル)に変換しています。
・ツイン 99.05cmx190.5cm
ベビーベッドの次に使う子ども用のベッドで、日本のシングルに近いサイズです。
日本のセミシングルのように、スペースがない場所では大人が使う場合もあります。
・フル 137.16cmx190.5cm
日本のセミダブルよりも少し大きい、大人ひとり用のベッドです。
アメリカでは一般的なサイズで、日本のシングルベッドと同じように使われています。
・クィーン 152.4cmx203.2cm
大きさは日本のダブルベッドに近く、大人ふたりが寝られるので、夫婦やカップルのベッドとして一般的なサイズです。
アメリカのホテルでは、このサイズのベッドが多く使われています。
・キング 193.04cmx203.2cm
大人がふたりでゆったり寝られるサイズです。
幅に余裕があるので、夫婦と子ども1人でも寝ることができます。
・カリフォルニアキング 182.88cm×213.36cm
キングよりも幅が10cm程度狭いのですが、その分、10cm長いので背が高い人向けのベッドです。
このように、アメリカのベッドサイズは、以上で挙げた5つと、とてもシンプルで分かりやすくなっています。
アメリカのベッドには枕がいっぱいなのはなぜか
冒頭にお話ししたように、アメリカの映画などではベッドに枕やクッションがたくさん置いてあります。
日本では、それほど枕やクッションを置くことはありませんね。
アメリカでは日本よりベッドの上で過ごす時間が長く、本を読んだり、ゴロゴロして過ごすという生活スタイルだということもありますが、枕やクッションをたくさん置くのは単純に「おしゃれ」だからです。
まず、アメリカでは「枕はひとり2つが基本」です。
そして、その他に飾り枕を置きます。
ベッドの壁際に置く枕は、「ユーロシャムス」と言い、約66×66cmほどの大きめで四角いクッションで、背もたせとして本を読むときなどに使います。
次に置かれるのが「スタンダードシャムス」で、サイズは寝るときの枕と同じです。
このシャムスには、「見せかけの」という意味があり、実用的な枕というより、飾り枕として使われています。
3つ目に置かれるのが、実際に使う「スタンダードピロー」で、「スリーピングピロー」と呼ばれることもあります。
ベッドサイズに合わせて枕のサイズも大きくなります。
最後に置かれるのが、「デコラティブピローズ」で、シャムスよりもより装飾の意味が強い枕です。
ピローズというくらいですから、1つとは限りません。
小さめの四角いクッションで、寝室の雰囲気に合わせて、差し色や柄ものなどが多く使われています。
ベッドに枕を置くときには、きれいに見えるように大きさ順にして立てるようにするのが基本です。
アメリカのベッドメイキング
次にアメリカのベッドメイキングについてご紹介しましょう。
・マットレス
ベッドサイズに合わせたマットレスを選びます。
日本では、ベッドとマットレスが組んで販売されていたり、推奨するマットレスがあるので、特別なこだわりがない限り、そのままのマットレスを使って問題ないでしょう。
・シーツ
アメリカではフィッティングシーツ、日本ではボックスシーツと呼ばれる、周りにゴムが入っているシーツが販売されています。
マットレスの端にシーツを引っ掛けるだけで、きれいにシーツを敷くことができます。
日本人には敷布団の上に寝る習慣があるので、マットレスの上にすぐシーツを敷くのは抵抗があるかもしれません。
実際にマットレスの上に敷布団を敷いて寝ているという人もいます。
もし、マットレスに直にシーツを敷くのに抵抗がある人は、間にベッドパッドや敷きパッドを敷くと良いでしょう。
・フラットシーツとコンフォーター
アメリカでは掛け布団のことを「コンフォーター」と言います。
カバーを掛けずに使うので、汚れを防ぐためにフラットシーツを使い、その上にコンフォーターを掛けます。
アメリカと日本ではベッドに対する考え方が違う
このようにアメリカと日本では、住宅事情や生活スタイルが違うので、ベッドに対する考え方も違います。
日本人は畳や床でゴロゴロとくつろぎますが、靴を履いて過ごすアメリカ人は床ではなく、ベッドでくつろぐことが多いようです。
そのため、ベッドはゆったりと広く、飾り枕で飾り、クッションを使って居心地の良い場所にしています。
日本のベッドはアメリカとは違い、日本文化に沿った独自のものと言えるでしょう。