マンションなどの鉄筋コンクリート住宅では、天井がコンクリートむき出しのものも増えています。
この天井に照明器具などを吊るすフックを付けたいときなどは、コンクリートの天井に穴あけする必要があります。
「どうやって穴をあけたらいいのか?」、「どんな道具を使うのか?」などをご紹介します。
また、「穴あけをする際にどのようなことに注意したらいいのか」もお伝えします。
コンクリートの天井に穴あけする方法
コンクリート住宅の天井の構造は、大きく分けて下地を使った天井仕上げとコンクリートの直仕上げの2種類です。
下地を使った天井仕上げとは、コンクリートの天井の下に木製や軽量鉄骨の下地を吊り下げて2重構造にする工法のことです。
直仕上げは、コンクリートそのものをむき出しにした天井で、クロスを貼ったものや、塗料を塗って仕上げたものがあります。
最近は、コンクリートの肌そのままを活かすものも見受けられます。
コンクリートがむき出しの天井に照明器具などを吊るしたい場合は、コンクリートの部分に穴をあけてフックなどを付けることが必要になります。
コンクリートに穴あけするにはドリルが必要になりますが、金属や木材に穴をあける回転だけのドリルではなかなか穴はあきません。
特殊なドリルが必要になります。
ドリルの種類
ドリルは基本的には電動モーターで軸を回転させ、先についたビットで穴をあけたり、ドライバーでビスを締め付けたりする工具です。
木材や金属に穴をあけるには、回転のみを行う電動ドリルが使われます。
しかし、この電動ドリルではコンクリートのような硬度の高いものには穴はあきません。
コンクリートの天井に穴あけするようなときには、軸の回転の他に上下方向の打撃の運動が加わるハンマードリルや振動ドリルが使われます。
また、軸の回転方向に打撃力の加わるインパクトドライバーでも、うまく使えば小さな穴をあけることができます。
どの場合もドリルの先端に付けるビットには、コンクリート用のビットが必要です。
そして、このコンクリート用のビットの先端には、超硬度のチップが付けられています。
ハンマードリルでコンクリート天井に穴あけ
ハンマードリルとは、ドリルの回転とハンマーのような打撃の両方の動きで穴をあける電動工具です。
コンクリートは硬度が高く、単に回転するドリルでは切削して穴をあけることができません。
ハンマードリルを使えば、打撃を加えながら回転させることでコンクリートの加工が可能になります。
ハンマードリルの動作は、「回転と打撃の同時動作」「回転のみの動作」「打撃のみの動作」の3種類から選択できます。
一般的には打撃と回転の同時動作で穴をあけますが、打撃のみの動作で大きな穴をあけることも可能です。
ハンマードリルは、普通の電動ドリルと同じ形をしていますが内部構造が全く違います。
先に取り付けたビットを回転させる構造は電動ドリルと同じですが、ビットの後部にインパクトボルトというものがあります。
このインパクトボルトの頭を後ろから強くたたいてビットに打撃の振動を伝えます。
インパクトボルトの頭を叩くのはストライカーという部品です
そして、インパクトボルトとストライカーは、空気の力を利用するシリンダーの中に入っています。
力を加える構造としては、シリンダーの後方にあるカムが回転し、ピストンというパーツが空気を押し出すことで圧縮され、ストライカーがインパクトボルトに衝撃を伝えるというものです。
そして、反動で後ろに戻るストライカーとピストンの動きを同期させて強い圧縮と押し出しの動作を繰り返して、打撃の振動を生み出します。
ハンマードリルを使えば早く穴をあけることができますが、力が強くコンクリートの破壊も大きくなるため、あけた穴の周囲の欠けも多くなります。
コンクリートの天井に大きな穴あけをして大きなものを吊るすときなどに使われます。
振動ドリルでコンクリートの天井に穴あけ
振動ドリルのビットが回転する構造は、普通の電動ドリルと同じです。
モーターの回転が軸の回転につながり、先に取り付けたビットを回転させます。
振動ドリルではこの回転する軸の後ろに波状の溝を付けたリングが取り付けられています。
このリングはその後ろの固定された台とすりあわされます。
台側にも波状の溝が付けられており、回転により波の山同士と谷同士がすりあうことにより軸を前後に振動させます。
波の高さはせいぜい2,3mmですから、細かい振動がビットに伝わることになります。
ビットの回転と前後の振動の同時動作で、固いコンクリートに穴をあけることができます。
コンクリートの破壊も少なく、穴の周囲の穴欠けも少ないきれいな穴があきます。
ハンマードリルに比べれば振動の大きさが違うので、穴あけに時間もかかりますが、小さな穴をあけるのに向いています。
コンクリートの天井に小さなきれいな穴あけをするときに使われます。
インパクトドライバーによる穴あけ
インパクトドライバーにも電動ドリルと同じ回転する機構が使われています。
インパクトドライバーでは、この回転する機構にハンマーが取り付けられています。
ハンマーはリング上で端の方に傾斜がつけられています。
軸と共に回るピンがこの傾斜を昇って行って、一回転ごとに端から落ちるときにハンマーを打ち付けることにより打撃が生じます。
したがって、打撃は軸の回転方向に打ち付けられます。
インパクトドライバーは、一般的にはこの打撃を利用してビスなどを締め付けるために用いられます。
コンクリートに対しても、6mm程度以下の小さな穴ならばこのドライバーを使ってあけることができます。
回転のトルクを打撃に変えているためビットが折れたり、部材がかけたりすることがあるため注意して作業をする必要があります。
天井に穴あけするようなときは、やはり振動ドリルかハンマードリルを使う方をお勧めします。
コンクリートの天井に穴あけするときの注意点
まず気をつけなければいけないのはコンクリートを削ったときに出る粉塵です。
粉塵は飛び散ります。
特にコンクリートの天井のような場所に穴あけするとなると、上を向けて削るのですからまともに作業している人の上から降りかかります。
目に入れば目を傷付けることにもなりかねません。
必ず防塵眼鏡をして目を守りましょう。
また、口から吸いこまないようにマスクをしましょう。
吸い込んだら肺を痛めることになります。
次に気をつけなければいけないのは、騒音です。
どのドライバーも大きな音がします。
近所に迷惑にならないよう気を配りましょう。
なるべく戸や窓を閉めて、音が外に漏れないように気を配る必要があります。
食事の時間や深夜に作業をしないようにしましょう。
また、ドリルの使い方にも注意が必要です。
ハンマードリルだと一気に大きな穴があき、周囲も大きく欠けてしまうこともあります。
目的に合わせてどの程度の穴が必要かを見極めて、使うドリルとビットを決める必要があります。
少し小さめの穴をあけて、プラグを打ち込んで止める方がいいでしょう。
また、賃貸のマンションでは、天井や壁のコンクリートに穴をあける行為を禁止されていることが多いです。
間違えても穴をあけてから連絡することのないようにしましょう。
管理会社に連絡する、もしくは規約をしっかり確認してください。
この規約に関しては、分譲であっても注意する必要があります。
構造上、穴をあけることができないことも少なくありません。
その他にも、共用として考えられているところなどに支障が出ることもあります。
このようなことから、個人で勝手に穴をあけることで、管理会社側より責任として原状回復する義務が生じる可能性もあるのです。
穴をあける際は規約を確認し、管理会社に相談するようにしてください。
簡単にできるコンクリートの穴あけ方法!
天井のコンクリートにものを吊るしたいときなどに、コンクリートに穴あけする方法と道具について解説しました。
インパクトドライバーでも小さな穴はあきますが、ハンマードリルか振動ドリルが最も向いています。
この二つのドリルは回転と軸方向の打撃力で穴をあけるものです。
比較的小さな穴をきれいにあけるには振動ドリルが向いており、大きな穴を早くあけるにはハンマードリルが向いています。
どちらも大きな音がしてコンクリートの粉塵が飛び散るので作業には注意が必要です。
また、賃貸や分譲の場合は、規約の確認と管理会社への相談をしてください。