キッチンは「ステンレス」?
それとも「人工大理石」?
新築やリフォームでキッチン設備を決めるときがやってくると、多くの方が迷う問題です。
見た目の好みで決めるのも良いですが、それぞれの特徴とメリット・デメリットをぜひ知ってみてください。
キッチンでの作業のしやすさ、家事のモチベーションが大きく変わるかもしれません。
十分に検討を重ね、納得のいくキッチンを選んでください。
昔から馴染みのある「ステンレスキッチン」のメリットとは?
システムキッチンを販売している各メーカーでは、いくつかの種類のワークトップ(天板)を扱っています。
その主なものが、「ステンレス」と「人工大理石」です。
この項では「ステンレスキッチン」の特徴とメリットについてお話しします。
ステンレスのキッチンは、昔から馴染みがあり賃貸にも多いタイプのものです。
独特なデザインや機能性が人気ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
●水・熱・錆びに強い
ステンレスと言えば、まずは耐水性・耐熱性・耐久性に優れている点が挙げられます。
水を扱うキッチンには最適な素材と言えます。
●汚れに強い
汚れが染み込みにくく、食器洗い用洗剤で簡単に落とすことができるのでお手入れが簡単です。
頑固な汚れには、メラミンスポンジやクレンザーで対応できます。
●ニオイが付きにくく衛生的
ステンレスは医療器具にも使われるほど衛生的な素材です。
ニオイの付きにくさも優れています。
●人工大理石に比べると若干安価
人工大理石よりも若干安価な価格設定ですので、予算を押さえたい場合にはおすすめです。
強くて丈夫な「ステンレスキッチン」のデメリットとは?
「ステンレス」のキッチンにはたくさんのメリットがありましたね。
それでは、デメリットについても見ていきましょう。
▲無機質な印象
人工大理石のような明るい風合いに比べると、無機質な印象を与えます。
キッチンインテリアのテイストや、人それぞれの好みにより、ステンレスの風合いがアリかナシか異なってくるでしょう。
▲経年により光沢がなくなる
最初はピカピカに輝いていたステンレスキッチンも、使っていくうちに光沢がなくなります。
また、水はねをそのままにしておくと、水垢になり跡が残ってしまいます。
▲もらい錆びが付く
錆びにくい素材ではあるものの、錆びた鍋などを置いておくとその錆びが付着してしまいます。
このようにして発生した錆びを「もらい錆び」と言い、取るのが容易ではありません。
▲加工によって野暮ったく見える
ヘアライン加工、バイブレーション加工、エンボス加工などといった加工方法があります。
実用的な面を特化していることもあり、仕上がりが少し野暮ったく見えてしまうことがあります。
「人工大理石」と「人造大理石」は全く違うもの!?
これまで、ステンレスキッチンのメリット・デメリットに焦点を当てたお話をしてきました。
次に「人工大理石」についてお話をしていきますが、その前に、間違いやすい「人造大理石」との違いについて知っておきましょう。
似た名前であり混同しがちですが、この2つは全く違った素材です。
「人工大理石」はアクリル樹脂やポリエステル樹脂といった人工素材で、天然の大理石はまったく含まれていません。
加工がしやすく、色や柄が豊富であり、人造大理石に比べ価格が安価なことが特徴です。
クリナップ、TOTO、エイダイ、ウッドワンといったメーカーで取り扱いがあります。
一方、「人造大理石」は天然の大理石を細かく砕いたものを樹脂やセメントで固めた半人工素材です。
仕上げに研磨作業が必要になり、加工がしにくく、人工大理石よりも高級品として扱われています。
トクラス、LIXIL、Panasonic、タカラスタンダードといったメーカーで取り扱いがあります。
このように、素材はまったく違うものです。
しかし、基本的にメリット・デメリットには、大きな違いがありません。
そのため以降の文中では、「人工大理石・人造大理石」と表記させていただきます。
新築キッチンに人気の「人工大理石・人造大理石」のメリットとは?
それでは、ここからは「人工大理石・人造大理石」についてその特徴を見ていきましょう。
人工大理石・人造大理石は、インテリア性を重視する方に選ばれることが多いキッチンです。
まずは、メリットに注目してみます。
●色やデザインが豊富
白やベージュといった明るい色のものが多く、ステンレスに比べると明るい雰囲気です。
キッチンの作業台というより、インテリアの一部という感覚で使えます。
●音が静か
お皿を置いたり水を流した時に、音が響きづらく静かに感じるでしょう。
●お手入れが楽
汚れがつきにくく、お手入れも簡単な作業でキレイな状態が保ちやすいです。
気になる汚れには、食器洗い用洗剤とメラミンスポンジを使えばほとんど対処できます。
インテリア性の高い「人工大理石・人造大理石」のデメリットとは?
「人工大理石・人造大理石」のキッチンは、インテリアに取り入れやすく扱いも簡単そうですね。
しかし、扱いに気を付けなくてはいけない点も意外と多くありますのでしっかり把握しておきましょう。
デメリットと併せて見ていきましょう。
▲熱に弱い
アクリル系の人工大理石の耐熱温度は200℃程度、ポリエステル系の耐熱温度はさらに低いです。
シンクに熱湯をそのまま流したり、調理台に熱い鍋などを直置きすることは避けましょう。
変色や膨れが生じることがあります。
▲液体のシミで変色することがある
醤油やワインなのどシミを放置していると、シミになりやすいです。
気づいたときにすぐに拭き取るようにしましょう。
▲かたくて重いものを落とすと天板が割れることがある
ステンレスは衝撃にも強い特徴がありますが、人工大理石・人造大理石の場合は、強い衝撃を与えないように注意する必要があります。
最近の商品では改善されてきてはいますが、かたくて重い鍋などを落とすと、衝撃を吸収できずに割れてしまうことがあります。
▲経年劣化で若干黄ばんでくる
時間が経つと、紫外線の影響で若干黄ばんでくることがあります。
真っ白な天板は黄ばみも目立ちやすい傾向があります。
▲火事の危険性
人工大理石・人造大理石は燃えやすく、不完全燃焼により一酸化炭素などの有毒ガスが発生します。
天板に火が移ったときは非常に危険です。
「ステンレス」「人工大理石・人造大理石」!素材選びのポイント
これまで、「ステンレス」と「人工大理石・人造大理石」のキッチンのメリット・デメリットに焦点を当ててその特徴についてお話ししてきました。
それぞれのメリット・デメリットを踏まえ、シンクと天板に使いやすい素材を選びましょう。
キッチンの天板とシンクは、必ずしも同じ素材にする必要はありません。
シンクだけをステンレスにする、もしくはシンク部分の人工大理石・人造大理石の色のみを変えるといったように、異なる素材を使う方法もあります。
しかし、異なる素材を使うとつなぎ目ができてしまい、そこから錆が発生したり、劣化が始まる原因となってしまうリスクがあることも覚えておきましょう。
また、キッチン選びには、機能的な部分なのか、それとも見た目を重視するのか、でも判断が変わってきます。
本格的に料理を楽しむことを考えるのであれば、オールステンレスという選択もあるでしょう。
一方で見た目のことを考えるのであれば、人工大理石・人造大理石を選択することで綺麗な印象を与えやすいです。
そして、お気に入りのキッチンであれば、素敵な状態をキープしたくなる気持ちが持続し、お手入れにも力が入り、丁寧に使い続けることができると思います。
特徴を十分に考慮した上で、最終的には直感的な好みを信じても良いでしょう。
メリット・デメリットを知ることは長く大切に使い続けられるコツ
ステンレスのキッチンも人工大理石・人造大理石のキッチンもそれぞれ特徴が違いました。
優れたメリットもある反面、デメリットも多く見受けられましたが、弱点ともなる特徴を知っておけば適した使い方ができるはずです。
どちらにしても特徴を知れば、決して扱いが難しいことはありません。
ご自身がキッチンに求める優先順位を明確にし、長く大切に使い続けられるようなお好みのキッチンを選んでください。