新築を建てる場合、間取りや設備など決めることはたくさんありますが、図面を見ているだけでは、使い勝手が分からない部分もありますよね。
特に、扉については引き戸や開き戸などたくさんの種類から選ぶことができますが、実際にどう開くのかは想像でしか補えないので、付けてから失敗したと感じることがあるかもしれません。
今回は、新築に付ける扉の選び方についてご紹介します。
そもそも引き戸と開き戸ってどんな違いがある?
新築の家の扉を選ぶ前に、扉の種類について詳しくご紹介しましょう。
新築住宅の扉で多く使われているのは、引き戸と開き戸になります。
他にも玄関ならば親子戸や、スペースの少ないところでは折れ戸を使う場合もありますが、概ね引き戸と開き戸のどちらかを使うことが一般的だといえます。
開き戸は、文字通りドアノブや取っ手を持って扉を押し引きして開くタイプの扉で、誰もがイメージする「ドア」だと考えると分かりやすいでしょう。
一方、引き戸は開き戸と比べて種類が豊富にあります。
基本的には横にスライドさせて開けるタイプの扉を指しますが、その中でも扉が収まる方法によってそれぞれ呼び名が変わるので、自分の求めている引き戸はどのようなものなのかを知っておくと選び方に幅が広がるでしょう。
●片引き戸
一般的な引き戸で、1枚の戸をスライドして開けた時に扉が壁の横に収納されます。
2枚、3枚の戸が連動しているものもあります。
●引き込み戸
引き戸をスライドさせて、壁の中にしまい込めるタイプの扉です。
収納時にどちらの側からも扉が見えないためスッキリとした印象になりますが、お掃除が難しいというデメリットもあります。
●2枚引き戸/2枚引き込み戸
レールが2本あり、2枚の扉が両方スライドして大きく開くタイプの扉です。
開放感がありますが、2枚分の扉を同じ場所へ収納するので厚みが出てしまいます。
●引き分け戸
2枚の扉を真ん中から左右にスライドさせて開ける引き戸です。
左右に扉を開けるために扉の収納スペースも左右両方に必要となります。
●引き違い戸
押し入れの襖のように、2枚の扉を互い違いに開閉することができるタイプの扉です。
学校の教室の入り口にも採用されています。
新築の玄関は引き戸と開き戸どちらがおすすめ?
それでは、早速新築の家におすすめの扉を選んでみましょう。
まずは、家の顔ともいえる玄関です。
玄関は、和風の家ならば引き戸や引き違い戸が選ばれることもあるのですが、一般的には開き戸の方が多く採用されています。
玄関の扉を好みで選びたいのはもちろんですが、メリットとデメリットが大きく感じられる場所でもありますので、利便性も考えた方が良いでしょう。
例えば、引き戸は開き戸と比べると気密性が低いので、断熱性にも防音性にも欠けてしまいます。
特に玄関ですと、外の隙間風が入って寒く感じることもあるかもしれません。
ただし、昔と比べると今は引き戸の性能も大きく向上しているため、あくまでも開き戸と比べたデメリットだといえます。
また、引き戸は扉と同じサイズの収納スペースが必要なので、玄関に大きくスペースが必要となります。
ただ、開閉時は可動域が少ないので、車椅子を使用されている方でも開けやすいといえます。
一方で開き戸は引き戸と反対のメリットとデメリットがあります。
気密性が高いので、断熱性や防音性にも優れていますが、可動域は大きいために扉を開閉する時に大きく身体を動かす必要があります。
両手が塞がっている時には、重い開き戸を開けるのが大変だと感じることもあるかもしれません。
引き戸と開き戸、どちらにも玄関に適した部分とそうでない部分がありますから、家族構成などを考えて使い勝手が良い方を選んでみるようにしましょう。
新築のリビングは引き戸が便利で使いやすい!
次に、家族が集うリビングの扉について考えてみましょう。
リビングは、家族の誰もが入る場所ですので、居室と比べると明らかに開閉回数が増える場所でもあります。
そういった面から、新築のリビングには使い勝手の良い引き戸を採用してみることを考えてみます。
リビングを引き戸にすると、扉の可動域が必要ないために開閉時に気を遣う必要がありません。
開き戸だと開けた時に、反対側にいる方へぶつかってしまう可能性もないとはいえません。
また、開き戸は開閉時に、小さな子どもが扉で指や足をはさんでしまうという事故が起こることもあります。
引き戸も手を挟む心配はありますが、近年はソフトクローズタイプの引き戸が主流となってきていますので、それならば勢いよく扉が閉まることは少ないです。
さらに、廊下にトイレや洗面所が配置されている場合、リビングを含めた全ての扉を開き戸にすると、扉同士の可動域が重ならないような工夫をする必要があるため、間取りに制限が出る可能性もあります。
その点、リビングだけでも引き戸にすれば、他の扉の開閉を妨げることが少なくなるでしょう。
もし、実際にリビングを引き戸にする場合は、扉の収納面を廊下側に設けると良いです。
廊下よりもお部屋の中で壁面が多い方が、家具を配置する時にとても便利です。
居室は開き戸にしてプライバシーを尊重しよう
リビングには引き戸がおすすめだということをご紹介しましたが、寝室を含める居室に関しては開き戸を使用した方が使い勝手は良いといえます。
前述した通り、開き戸は気密性が高く防音性にも優れています。
個人のお部屋は、できるだけプライバシーが守られた方がストレスなく過ごすことができます。
例えば、友人を招いてお話をする時や、誰かと電話をしている時などは他愛のない内容であっても家族に聞かれたくないという方も多いでしょう。
眠っている時にいびきや歯ぎしりの癖がある方は、お部屋の外に音が漏れるのを気にすることもあるかもしれません。
趣味が映画鑑賞や音楽を聴くことであれば、防音性が高いお部屋の方が気兼ねなく過ごすことができます。
また、引き戸は収納する時に扉2枚分のスペースを取るため、お部屋の内側に収納すると家具を置くスペースが限られてしまいます。
しかし、だからといって扉の収納を廊下やホール側に設置すると、見映えがあまり良くない上に、レールの位置関係で間取りに不自由することがあるかもしれません。
その点、開き戸はレールのスペースが必要ないので場所を選ばずにお部屋の入り口を考えることができます。
開閉も基本的には内開きのため、廊下で誰かに扉をぶつけてしまう危険性もないでしょう。
そのような点から、新築の居室には、開き戸が便利でおすすめです。
スペースが小さい場所には引き戸が最適!
新築で扉を選ぶのは、玄関やお部屋の入り口だけではありません。
洗面所や浴室、トイレの他に納戸やシューズクローク、ウォークインクローゼットなど、意外にもたくさんあるものです。
お風呂に関しては折れ戸を採用していることが多いのですが、お掃除を考えると開き戸が便利です。
引き戸はサイズの大きなお風呂であればぜひ採用したいところですが、一般的な規格のユニットバスだとスペースの問題で難しいといえます。
しかし、ここに挙げたお風呂以外の場所に関しては、収納スペースさえ確保できるのであれば引き戸が断然おすすめです。
例えば、シューズクロークに三輪車やベビーカーなどを置きたい場合、引き戸ならば開けてすぐに取り出すことができます。
しかし、開き戸だと、扉が開いた裏側部分に収納されているものは一度中に入って扉を閉めてから取り出す必要が出てしまいます。
また、トイレは開き戸だと外開きが一般的なため、廊下やホールを通る方とぶつかってしまう可能性があります。
その点、引き戸ならトイレ側に扉を収納することでスペースも取りやすく、出入りする時に気を遣う必要もありません。
スペースが小さい部分でも、扉の大きさはそう大きく変えることができません。
そのため、お部屋なら気にならない開き戸の可動域が、スペースの小さい場所では大きな負担となることもあるのです。
収納スペースの余裕がある場合には、引き戸はとてもおすすめの扉だと考えます。
最終的に新築の扉を選ぶ決め手は?
新築といっても全てが同じ間取りなわけではありませんから、ここまでにご紹介した扉の種類では使いにくさを感じることもあるでしょう。
そのため、最終的にはやはり自分の家に適したスタイルの扉を選ぶ、想像力が必要となります。
冒頭で「図面だけでは想像でしか補えない」ということを述べましたが、それでも実際に間取りを見てシミュレーションをしてみるようにしましょう。
玄関から家に入り、どの扉がどう動くのかと考えるだけでも、使いやすさのヒントを見つけることができるかもしれません。
例えば、リビング階段を採用している家ならば、玄関からリビングの間の廊下は格段に通る回数が少なくなりますよね。
そのような場合には、リビングやトイレの扉を開き戸にしても、可動域を考える必要はなさそうです。
一般的に開き戸と比べて、引き戸はレールが2枚分必要となるために金額的には高くなります。
ストレスなく開き戸を多くできるのであれば、金額を抑えることができるかもしれません。
それでも、やはり引き戸を多く採用したい場合、扉に関してはできるだけ妥協をせずに予算を大きく取った方が良いと考えます。
扉の開閉は日に何度もあることなので、我慢が小さなストレスになることもあります。
また、扉の種類自体を変えることは、スペース的に後からリフォームするのが難しい場合もあります。
想像力を働かせて、扉の交換が必要ないようにじっくりと選びたいものです。
新築で後悔しないためにも
引き戸と開き戸のおすすめポイントを見てきましたが、どちらも古くから住宅に使われてきたメリットの多い扉です。
新築で金額を掛けたい部分はひとりひとり違うものですが、交換のしやすい設備よりは後から直すことが難しいものを優先させた方が、後悔することが少ないでしょう。
利便性、金額、見た目のバランスが取れた、自宅に合う扉を選ぶようにしましょう。