ベッドマットレスのお手入れを日常的に行っている方は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。
ベッドは毎日身体を預けて休む場所ですから、できるだけキレイに清潔に保ちたいものです。
しかし、日常のお手入れを怠ってしまうと、マットレスがカビの温床となってしまうこともあります。
ここでは、ベッドのマットレスにカビが生えたときの対処法と、カビが生えないようにどのような予防をすべきかご紹介します。
ベッドのマットレスにカビが生えやすい条件とは?
寝具には、カビの好む環境の全てが揃っていると言っても過言ではありません。
そのため、日々のお手入れでカビを寄せ付けないようにしている方はたくさんいらっしゃるでしょう。
それでも、床に直置きのマットレスやお布団と比べると、ベッドの上のマットレスは比較的安全だと感じてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、カビの発生条件を考えるとベッドの上でも決して安全とは言えないのです。
そもそも、カビの胞子は日常的に空気中を漂っているので、条件さえ合えばカビ菌はすぐに増殖を始めます。
中でも、カビが特に増えやすい条件を見てみましょう。
・5~40℃までの温度、特に人が快適な20~30℃で活発化
・湿度60%以上で発生、80%以上ならばより活発化
・ホコリや垢など汚れが大きな栄養分、家の建材でさえも栄養に
・通気性の悪い場所で上記の条件を満たしているとさらにカビにとって適切な環境に
マットレスをベッドに載せていれば床との間の結露は防ぐことができますが、それ以外にはカビの発生条件を全て備えたままということになります。
むしろ、安全だと思ってベッドを起きたときのままの状態で放置してしまうと、あっと言う間にカビは増殖を始めます。
では、カビの存在に気付かずにマットレスを使い続けるとどうなるのか、次の項でご紹介しましょう。
カビの生えたマットレスを使い続けるとどうなる?
ベッドのマットレスは直置きのマットレスとは違い、掃除のときでも持ち上げることはほとんどありません。
そのため、長い間カビの存在に気付かずにそのまま使用してしまったという方も多いのではないでしょうか。
カビの生えたマットレスは、ただ汚れていて気分の良くないものだというだけではありません。
使い続けることで、後々の大きな健康被害に繋がる可能性があります。
例えば、気管支ぜんそくや肺炎のように咳や息切れ、呼吸困難に呼吸不全などを起こすことがあれば、鼻炎や結膜炎などアレルギー性のくしゃみや痒みなどの症状を起こすこともあります。
これらの症状は重くなると命に係わることもあるので、「ただの咳」や「ただのくしゃみ」などと放っておくのは危険です。
特に、体力のない小さな子どもや高齢者、体調不良や疲れが溜まっているなど免疫力の下がっている状態の方などはより注意が必要となります。
体調が悪くてベッドに横になったら、もっと具合いが悪くなるというのは避けたいものですよね。
さらに、カビを放置するとカビを餌とするダニの繁殖をも促してしまう可能性があります。
ダニもカビと同様にアレルギーを引き起こす原因となり咳やくしゃみなどを誘発する恐れがありますが、それに加えて人の肌を刺す種類もいますから皮膚炎を起こす可能性も考えられます。
カビとダニがセットになってしまうと、健康被害もさらに大きくなるのです。
マットレスにカビを見つけたときの対処法
それでは、ベッドのマットレスにカビを見つけたらどのように対処すれば良いのでしょうか。
専門業者に頼んでカビの除去をするのも良いのですが、それでは費用が大きく掛かってしまいます。
マットレス全体にカビが生えているような場合は処分することを考えた方が無難ですが、一部の場合には自宅でも除去できる可能性があります。
その一番簡単な方法が、消毒用エタノールを使用した除菌です。
消毒用エタノールは安価であり、ドラッグストアなどで販売されています。
方法としては、マットレスのカビ全体に消毒用エタノールを吹きかけて1時間ほど放置します。
その後、水で濡らして絞った雑巾でカビ部分をつまみ取るように拭き取りましょう。
より効果を高めるには、この方法を繰り返し行うことです。
ただし、エタノールはあくまで除菌が目的なので、マットレスの黒ずみは落としてくれません。
除菌ができているとは言え、マットレスの見た目が汚れたままなのが気になる方は、カビ専用の除去スプレーを使用すると良いでしょう。
こちらは、カビの黒ずみも落とす作用があります。
ただし、様々な種類がありますので、お布団やマットレスにも使用できる商品を選ぶようにしましょう。
カビがベッドやお布団にうつったときは
マットレスのカビを放置しておくと、カビはマットレスだけではなくベッドやお布団、さらには床や壁までうつっていく可能性があります。
そのため、マットレスのカビを早めに見つけて対処するべきなのですが、気づいたときにはうつってしまった後ということもあるでしょう。
ベッドや壁にまでうつるほどにカビが発生した場合は、まずマットレスは買い替えを考えた方が安心です。
ベッドフレームや壁、床に関しては、先ほどご紹介したカビ除去スプレーの「壁紙用」や「木製品」にも使えるタイプのものを使用します。
もちろんエタノールでも除菌は可能ですが、白い壁紙に黒いカビというのは除菌したと言っても見た目に気持ちの良いものではありません。
最初から、黒ずみ自体を落とせる商品を使用した方が良いでしょう。
問題は、お布団やシーツなどの寝具です。
お布団も、あまりに広範囲でカビが生えているときには迷わず処分するようにしましょう。
ごく一部であれば、やはり専用のカビ除去スプレーを使用します。
シーツや布団カバーなど洗えるものに関しては、洗濯機に入れる前に必ず除菌をするようにします。
浴槽や大きなたらいなど、シーツが浸るような場所で酸素系の漂白剤と熱めのお湯に浸して1時間程度置きます。
カビが除去できたら、すすいでからいつも通りに洗濯機で洗濯をするようにします。
洗濯機に漂白剤を入れるだけでは除去できませんから、必ず浸け置きをするようにしましょう。
カビを予防するために使えるグッズとは
ベッドのマットレスにカビが生えたときの対処法をご紹介しましたが、カビは一度生えてしまうと処理が大変なので、何よりも予防をしてカビを増殖させないようにするのが一番です。
また、一度発生した場所には除去してもまた生えることがあるので、さらなる予防が肝心です。
そのために、たくさんの便利なグッズが出ているので、ぜひ活用してカビの対策を行うようにしてみましょう。
●防水シーツ
厳密にいうとカビ予防の製品ではありませんが、ベッドパッドの下に敷くことでマットレスまで寝汗を届きにくくさせます。
こまめに洗濯をするとより良いでしょう。
●除湿シート・マット
マットレスとベッドパッドの間に除湿シートや除湿マットを敷くようにしましょう。
吸湿性のあるすのこ型の除湿マットなどもあります。
●除湿剤
ベッドの下に湿気が溜まると床のカビにも繋がります。
ベッド下に除湿剤を置いて、ベッドからの湿気をしっかりと吸収しましょう。
●防カビスプレー(浸透性のある素材向けのもの)
カビが一度発生した場所には特に使用した方が良いでしょう。
商品によっては、一度使用するだけで数年間の予防を実現できたというものもあるとされています。
マットレスやソファなど浸透性のある素材専用のものを使用しましょう。
ベッドマットレスのカビを防ぐためにはこまめなお手入れを
ベッドマットレスにカビを発生させないためには、日常的なお手入れがとても大切です。
最初にカビの発生しやすい条件を挙げましたが、裏を返せばその条件をひとつひとつ消してしまえばカビは発生しないということです。
寝ている間には多くの汗をかきますし、寝ている間の体温でマットレスや寝具は暖まってしまいますが、カビは数時間の睡眠の間で一気に発生するものではありません。
起きてからすぐにお手入れをすれば、カビを抑えることはできるものです。
まず、寝室は頻繁に換気をするようにしましょう。
梅雨など窓を開けても湿気の多い時期には、除湿機の使用もおすすめです。
マットレスは、寝ている側だけではなくベッドフレーム側にも湿気が溜まるので、少なくとも一週間に一度くらいは立てかけて裏面もしっかりと風を送るようにします。
そして、ベッドは壁にピタリと付けずに、少しでも隙間を開けるようにしましょう。
ベッド下もものを詰め込むと通気性が悪くなりますので、あまりものを置かないようにします。
また、お部屋の掃除もとても大切です。
カビはホコリや垢などの汚れを栄養としますので、与える栄養がないようにお部屋は美しく保つようにしましょう。
エアコンにもカビは生えやすいので、カビの胞子が舞わないようにエアコンの中まで掃除をした方がより効果的と言えます。
衛生的なお部屋はカビが嫌うお部屋ですので、日常的にこまめなお掃除をするようにしましょう。
カビが発生しても諦めないで
マットレスにカビが生えてしまうと、全てが汚染されたように感じてしまい、とても残念な気持ちになるものです。
しかし、一度発生したカビも状況次第では除去することができますし、お手入れ次第でできるだけ発生しないようにすることは可能です。
カビはしっかりと予防をして、万が一見つけたとしても諦めずに被害が拡大しないような対応を心がけましょう。