ホテルのベッドの足元に掛けられている布は、一体何なのか気になったことはありませんか?
普段の生活にあまり馴染みのないベッドメイキングのスタイルや、その方法などに触れながらこの布の正体に迫ります。
日本文化にはない、欧米特有の土足での生活スタイルに適した使用方法や役割を知ったうえで、実際にホテルでの使用マナーも考えてみました。
意外と知られていないベッドの足元の布について、豆知識の1つとしてお楽しみ下さい。
ベッドの足元に掛けられてる布は「フットスロー」と呼ばれる!
ホテルで宿泊をされたとき、ベッドの足元の方に、長い帯状の布が掛けられているのを目にしたことはないでしょうか。
欧米などに旅行された際の現地のホテルなどをはじめ、国内でもどちらかといえば高級ホテルのベッドに掛けられているものとして目に留まります。
また、ビジネスホテルや旅館の和洋室タイプの客室などでも、このような足元の布が掛けられているベッドが設置されていることが多くなっていると言われています。
各宿泊施設によって、使用されている布の素材や色、デザインなども様々です。
このような布には実は「フットスロー」という名称がついていて、その他に、「ベッドスロー」や「ベッドライナー」などとも呼ばれることがあるようです。
では、この「フットスロー」は何のためにベッドに掛けられているのでしょうか。
ベッドカバー類の装飾として、ファッション的な意味合いで使われているとしか考えていなかった方も多いと思います。
今回は、何となく目につくものの、あまり気に留めていなかった「フットスロー」の役割などを詳しくご紹介していきます。
人気のベッドメイキング法!デュべスタイルでも使われるフットスロー
欧米などのホテルで伝統的なベッドメイキングのスタイルは、ベッドパットの上に敷かれたメイキングシーツやボックスシーツの上に、もう1枚アッパーシーツと呼ばれるシーツが用意されています。
この2枚のシーツを、ベッドカバーと共にマットレスに挟み込んであるスタイルが一般的です。
就寝時は、挟み込んだ部分を引っ張り出し、2枚のシーツの間に横になります。
シワ1つない糊がパリッときいた独特な質感から、クリーニング仕立ての清潔感をしっかりと感じられるものです。
そして近年人気のあるベッドメイキングが「デュべスタイル」です。
これは、国内外の高級ホテルや、大手有名ホテルでも多く採用されているスタイルです。
このデュベは、フランス語で「羽毛布団」を指しており、ベッドカバー兼布団のような役割があります。
「デュべスタイル」では、ベッドパットにシーツを敷いた後、中に羽毛インナーが入ったデュベカバーをふんわりと掛けてから、裾だけをマットレスの下に挟み込みます。
最後にベッドの足元部分にフットスローを掛けて完成です。
「デュべスタイル」は、従来の伝統的なベッドメイキングの清潔感を保ちつつ、寝心地まで考慮されたものとして、取り入れるホテルなどが多くなってきていると言われています。
ベッドの足元に布を掛けて完成!フットスローはベッドメイキング完了の合図
ここからは、ベッドにフットスローを掛ける理由や役割について考えていきます。
ホテルでは、ベッドの足元に布を掛けてあればベッドメイキング終了を表していると言われています。
つまり、きちんとフットスローが掛けられていれば、お部屋全体の清掃が終了している印になっているのです。
前章でご説明しましたが、フットスローはデュべスタイルのベッドメイキングでも使用されることが多いとされています。
また、ホテルのベッドに施されたフットスローには様々な種類があるとはいえ、レッドやネイビー、ブラウンなどの配色が多く使われていると感じたことはないでしょうか。
デュべスタイルで使用されるデュべカバーは、清潔感があることから白いものを取り入れることが多いです。
ここに濃い色のフットスローを掛けることで、ベッドメイキング完了が一目で分かるようになり、印象付けている意味もあるとも言います。
ベッドメイキングや室内清掃は、主にチェックイン前や外出時に行われます。
フットスローは、プライベートな空間である客室内にさりげなく清掃終了を知らせる、ホテル側からの配慮あるメッセージの1つと言えますね。
フットスローの役割!足元に布があればベッドが汚れない!
フットスローには、とても実用的な役割があると言われています。
ここではまず、欧米と日本の文化の違いをご説明しておきます。
日本は元来、外から帰宅すると履物を脱ぎ、畳のお部屋で生活をしてきました。
座るときは畳に正座や胡坐をかき、就寝時はこの畳の上に布団を敷いて横になるのが当たり前の生活スタイルで、室内では靴を脱ぐというのが一般的です。
しかし、欧米では室内でも土足で過ごします。
座るときは椅子を利用し、就寝時はベッドを使用します。
海外の映画やドラマのシーンでもよく見かけますが、ベッドの上に土足のまま横になることも当たり前で、日本と比較すると大きく生活スタイルが異なりますよね。
ここで、フットスローが必要になってきます。
ベッドの足元に布を掛けて、シーツに靴底の土などの汚れが直接付くことを防いでいるのです。
日本ではホテルなどで使用されるのがほとんどですが、欧米では一般家庭でもごく普通にフットスローが使用されています。
インテリアとしておすすめのフットスロー!
フットスローは、もちろんお部屋のインテリアの1部としても重要な役割を発揮しています。
特にホテルなどでは、ベッドメイキングのスタイルに関係なく、清潔感を出すためにベッドカバーやシーツ類には白を基調としたものが多いとされています。
ベッドの足元に濃いめの色合いの布を掛けることで、お部屋全体のアクセントになりますね。
また、ホテルの室内に統一感を出すために、枕やクッションカバーとカラーを合わせてフットスローをコーディネートしている場合もあります。
そのホテルのイメージカラー等を取り入れることで、お部屋のイメージを統一する効果もあると言われています。
さらに、フットスローに使用される布の素材やデザインにもこだわったものも多く、ベッドに掛けることでどこか日常とは違う、洗練された高級感を感じることができます。
フットスローを取り扱っている寝具専門店もありますし、ネットなどからも購入が可能です。
大手ホテルに商品を納品している販売サイトでも、家庭用として1枚からの購入ができるものもあるようです。
ご家庭の寝室のインテリアとして、来客用にも是非お試し下さい。
ホテルのベッド使用時のマナー!フットスローはどうするの?
ホテルなどで、ベッドにフットスローが掛けられている理由はご理解いただけたとは思いますが、実際にベッドを使用する際はこのフットスローはどのように扱えばいいのかが気になるところですよね。
ホテルのベッド使用時に、特別なマナーなどはあるのでしょうか。
そんなに固く考えなくても大丈夫です。
前章で触れていますが、フットスローは本来土足汚れを防ぐためにベッドの足元に布を掛けています。
ベッド使用時は、そのままの状態で気にせずに足を乗せたり荷物を載せて問題ありません。
海外映画やドラマの登場人物のように、ソファの代わりにベッドスローの上から土足で横になり、テレビを観ながら寛ぐのもいいですね。
就寝時も、わざわざ外す必要はありません。
もちろん、逆に必要なければ初めから外してしまっても構いません。
どうしても布がずれて気になる方や、普段使用しないために邪魔に感じる方は室内の端の方にでも避けておいて下さい。
できれば乱雑に放り投げておくよりも、畳んでサイドボードや荷物台などによけておくことをおすすめします。
実用性とインテリア性を兼ねたフットスロー!
ホテルなどのベッドの足元に掛けてある布には、ファッション的な意味合いしかないと思っていた方も多いのではないでしょうか。
フットスローという名称自体、あまり認識されていません。
もちろん高級感を出すインテリア性もありますが、土足で過ごす際の泥除けや室内清掃終了の合図といった実用性も持ち合わせています。
ご家庭では、ホテルと同様の高級感を感じせるインテリアの1つとして取り入れてみて下さい。