和室にベッドを置くことで心配なのが、カビの発生です。
カビの繁殖しやすい条件を根底に、発生するメカニズムを知ることで予防と対処法を考えます。
和室が洋室に比べてカビが発生しやすい理由から、ベッドを置くことで、さらにカビの好む環境に近付く要因などもまとめています。
カビ対策の具体的な方法や、カビにくいベッドフレームの選び方、カビの落とし方などもご紹介していますので是非参考にしてみてください。
知っておこう!カビの生えるメカニズム
ベッドのマットレスを干した時に、裏面にカビが生えていてびっくりしたことはないでしょうか。
また、大掃除などでベッドを動かした時に、ベッドフレームや天板に黒いカビのシミがついていたなんてこともあると思います。
日本は湿度が高い気候から、住居内のあらゆる場所でカビが発生しやすい環境にあるとされています。
今回は、和室にベッドを配置した場合のカビの発生について考えてみます。
カビが繁殖するには、以下の4つの条件を必要とします。
●適度な温度 約25~30℃
●水分 80%以上の湿度
●栄養分 埃、ゴミなどの汚れや雑菌、髪の毛、フケ、皮脂汚れなど
●酸素
カビの胞子は空気中に浮遊していてあらゆるものに付着し、付着した場所の環境が上記の4つの条件を満たせば約数時間で発芽します。
発芽後はどんどん先端を伸ばして菌糸を作り、この菌糸が広がり長い糸状の菌糸体となったものが、私たちの目に見えているカビです。
成長を続けるカビは、菌糸の先端や途中から枝を出し、たくさんの胞子を作り出します。
これらの多数の胞子が再び空気中に放出されて浮遊し、4つの繁殖条件を満たす場所でさらに広がっていくのです。
まずは、このようなカビの繁殖のメカニズムをしっかり把握しておきましょう。
和室はカビが発生しやすい!新築の1階和室は要注意
カビは基本的に、家の中では水を使用する浴室や結露が発生しやすい窓際で繁殖しやすいと言われています。
ここでは、前章でご説明したカビが繁殖する4つの条件を、和室に照らし合わせてみましょう。
和室においても、もちろん窓際はカビが繁殖しやすい環境にあります。
また、締め切ったままで通気性が悪く、たくさんのものを収納している押入れなども湿気が溜まりやすいため、カビが発生しやすくなります。
ここまでは、フローリングにベッドを配置したクローゼットがある洋室とそれほど変わりはありません。
しかし、和室には畳が敷かれています。
畳に使用されている天然のい草には、空気を吸収、放出する働きがあり、湿気や埃などを含んだ空気も吸収してしまいます。
この畳の性質上、和室はどうしてもカビが生えやすいと言えます。
特に、新しい畳ほど湿気を吸収しやすく、床下からの湿気を含みやすい1階ほどカビの繁殖条件を満たしていて、クロカビ、コウジカビ、アオカビ、アカカビなどが生えやすいと言われています。
和室にベッドを置くとさらにカビの好む環境に!
次にベッド周りの環境について考えてみましょう。
人は眠っている間にコップ1杯もの汗をかくと言われていて、ベッドのマットレスには知らないうちにこの寝汗がたっぷりと染み込んでいます。
この染み込んだ寝汗がベッド下にまで伝わり、通気性の悪いことから湿気が溜まっていきます。
また、ベッドは重量があるため頻繁に動かすことが難しい家具なので、どうしても掃除しにくく埃やゴミが溜まってしまいます。
さらに、マットレスの上に使用されるシーツや掛け布団カバーなどのカバー類は肌が直接触れるものですので、髪の毛やフケ、皮脂汚れなども付着し、ベッド周辺に落ちてしまいます。
このようにベッドの周りは、カビが繁殖しやすい条件を満たしやすくなります。
ここで室内の気温が適したものになれば、一気にカビが繁殖することになります。
前章でご説明した通り、和室は畳がある分洋室より湿気が溜まりやすいため、和室にベッドを置くとよりカビが繁殖しやすい環境に近づくことになるのです。
和室にベッドを置く場合のカビ対策
和室にベッドを置くとカビが発生しやすくなることを踏まえて、和室のカビ対策について考えてみましょう。
カビの繁殖を防ぐ基本的な対策は、湿気を取り除くことと、しっかり掃除し埃やゴミをはじめとするカビの栄養分を作らないことの2点になります。
まずは、湿気対策として和室全体に風を通すことが大切です。
襖や窓をこまめに開けて換気を行いましょう。
エアコンのドライモードや除湿機などを利用してもいいですね。
扇風機やサーキュレーターで和室内の空気を動かすことも効果的だと言われています。
湿気の溜まりやすいマットレスのメンテナンスも重要です。
定期的に陰干しすることをおすすめしますが、お部屋の壁に立て掛けておくだけでも湿気対策になります。
次に、和室内の掃除ですが、湿気を含みやすい畳に埃やゴミが溜まるとカビ発生の原因となるため、畳の目に沿ってこまめに掃除機を掛けておきましょう。
掃除のしにくいベッド下に掃除機を掛けることも忘れてはいけません。
押し入れやベッド周りなどの通気性の悪い場所は、特に清潔に保つことを心掛けましょう。
和室にはカビが生えにくいベッドフレームがおすすめ!
和室にベッドを置く際のカビ対策の1つとして、ベッドフレームにカビが生えにくいものを選ぶことが挙げられます。
まずは、天板がスノコ状になっているものをおすすめします。
マットレスとベッドフレームの天板との間に風が通ることで湿気が溜まりにくくなり、カビが生えにくいと言われています。
また、天然素材を使用したベッドフレームはカビが発生しやすいため、金属製のものが安心です。
どうしても木製ベッドにこだわりたいという方は、木材の種類を桐や檜のものにしてみましょう。
桐や檜は湿気に強い木材として、着物を収納する箪笥などに使用されています。
湿気にくい素材はカビが繁殖しにくいため、和室で使用するベッドのフレームに適したものだと考えられます。
これらを参考に、ベッド購入時にはカビが生えにくいものを選んでみてください。
もしベッドにカビが付いてしまったら!
和室にベッドを置いた場合に限らず、湿気対策や掃除を心掛けていてもベッドにカビが生えてしまうことはあります。
例えば、通気性のよいスノコベッドでもカビが発生してしまう可能性はあるのです。
ここでは、ベッドにカビが発生した場合の対処方法についてまとめておきます。
ベッドフレームに生えてしまったカビは、アルコール除菌スプレーを使って除去しましょう。
直接スプレーするとカビの胞子が舞いカビが広がる原因となってしまうため、ティッシュにアルコールを含ませて拭き取るようにしましょう。
ベッドフレームにカビの跡が残り黒いシミになっているようでしたら、塩素系漂白剤を塗布し水で絞った雑巾などで拭き取ります。
どうしても取れない場合は、目の細かいヤスリでカビの跡が残っているベッドフレームの表面を削り取るのも1つの方法です。
また、布製品に入り込んだカビは強力だと言われています。
マットレスに発生したカビには消毒用エタノールを使用しましょう。
ティッシュや布に含ませたエタノールをカビ部分に塗布し、ぬるま湯で絞った雑巾などでつまみ取るように拭きます。
これらの方法でもどうしても落とせない場合には、カビ取りの専門業者への依頼をおすすめします。
和室にベッドを置くなら湿気対策と掃除を徹底しよう!
カビは高温多湿を好み、埃やゴミ、髪の毛やフケ、皮脂汚れを餌に繁殖していきます。
畳の性質上、湿気が溜まりやすいとされる和室にベッドを置くことで、さらにカビの好む環境に近づけてしまいます。
カビは1度発生すると広い範囲にどんどん広がる性質があることからも、日頃からカビ対策を心掛けてみてください。
湿気を溜めないようにすることと、こまめな掃除が重要になってくることをしっかり把握しておきましょう。