賃貸マンションの壁にお子さんが落書きをしてクロスを汚してしまったり、うっかり穴をあけてしまった場合、とても焦りますね。
退去時には原状回復しなければならないので、そのような場合には修復する費用を負担しなければならないケースもあるでしょう。
そのため、できることならご自身で修復したいと考える方も少なくないはずです。
しかし、賃貸物件である以上、勝手に修復することはおすすめできません。
壁を損傷してしまった場合の対処法についてお話しします。
賃貸マンションの壁は退去時に原状回復しなければならない!
賃貸マンションでもおしゃれなインテリアにしたいために、ポスターやミラーなどを飾って壁掛けを楽しみたいという方も多いのではないでしょうか。
また、壁にうっかり傷や汚れをつけてしまって困っている方もいらっしゃるかもしれません。
マンションの賃貸契約書には、「原状回復」について明記されていることをご存知でしょうか。
原状回復とは、退去の際に入居時の状態に部屋を戻すことを指します。
普通に住んで生じた汚れや傷、経年劣化は問題ありませんが、故意・過失に基づく建物の損傷に関しては、退去時に修復するための費用を請求される可能性があります。
特に「壁」はお部屋の中でも占める面積が大きいので傷や汚れのリスクが高く、退去時に原状回復するための費用を負担することになるケースが多くあります。
そのため、普段から壁の扱いには注意をして、傷や穴、汚れなどには十分に注意する必要があります。
また、壁掛けをする際にビスや釘であけた小さな穴であっても、下地材の特性によって張り替えが必要になることもあります。
次項では、壁の下地材についてお話しします。
賃貸マンションの壁はどんなつくり?下地材は?
この項では、賃貸マンションの壁がどんなつくりであるかお話しします。
一般的に、マンションは鉄筋コンクリート造であることが多いです。
鉄筋コンクリート造のマンションの場合、壁はコンクリートか石こうボードのどちらかになります。
壁を手で軽く叩いて「コツコツ」と硬い音がしたらコンクリート、「コンコン」と空洞が感じられるような音がしたら石こうボードです。
両者のうち、賃貸マンションの壁の下地材としてよく採用されているのが、安価で扱いも簡単な建材である石こうボードです。
石こうボードは、厚み9mmと12mmの2種類があり、軽量であることが特徴で、断熱性・耐火性・遮音性に優れています。
しかし、点の力に弱いことが最大の弱点です。
例えば、壁にビスや釘を打ちつける際、石こうが崩れてしまって固定できないこともあります。
また、強い力で何かをぶつけたりしたときには、穴があいてしまうかもしれません。
石こうボードの壁を損傷してしまった場合、修復に掛かる費用はどのくらいなのでしょうか。
賃貸マンションの壁を損傷してしまった!修復に掛かる費用は?
この項では、賃貸マンションの壁を損傷してしまった場合の負担費用についてお話しします。
壁の損傷と一口に言っても、損傷の程度や範囲により修復に掛かる費用は異なります。
損傷してしまった箇所が一部分であった場合、その箇所だけ修復すれば済むこともありますが、その周囲全体を修復しなければならないこともあり、費用は大きく変わってきます。
例えば、小さな損傷で壁紙の一部分だけを張り替えるのであれば、1平米あたり1,000円前後で済む場合もあります。
しかし、小さな損傷でも広範囲にわたる張り替えになると、面積が広いほど費用も高額になります。
そして、壁の石こうボードを突き破った穴をあけてしまった場合にも、数万円の高額な費用が請求される可能性があります。
壁紙に落書き!キレイに落とす修復方法
賃貸マンションの壁を損傷してしまった場合、修復するために数千円から数万円の費用が掛かることが分かりました。
退去時の費用はできるだけ抑えたいものですね。
この項では、壁紙の落書きに注目してみましょう。
落書きの場合、元通りに消すことができればさほど問題にはならないでしょう。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがあるように、退去時には以下の方法で汚れを落としてキレイな状態に戻しましょう。
壁紙の落書きをキレイに落とす方法をご紹介します。
●クレヨンによる落書き
《使用する物》
・歯ブラシ
・歯磨き粉
《方法》
①歯ブラシに歯磨き粉を少量付ける
②汚れを丁寧にこする
②汚れが落ちたら濡らしたタオルで拭く
●油性ペンによる落書き
《使用する物》
・歯ブラシ
・クリームクレンザー
・弱アルカリ性洗剤
《手順》
①クリームクレンザーと弱アルカリ性洗剤を混ぜたものを歯ブラシに少量付ける
②汚れを丁寧にこする
③汚れが落ちたら濡らしたタオルで拭く
壁紙を傷めてしまったり、汚れが落ちなかった場合には、壁紙の張り替えが必要となり修復費用を負担しなければならない可能性があります。
壁に画鋲を刺した!小さな穴は修復が必要?
お部屋にポスターを貼ったり写真を飾ったりする際に、賃貸マンションだけど「画鋲を使いたい」または「使ってしまった」という方も多いのではないでしょうか。
そんな場合には、壁紙に小さな画鋲跡の穴があいているはずです。
このような小さな穴は修復が必要になるのでしょうか。
国土交通省で設定されているガイドラインでは、画鋲によって開けた壁の穴に関しては、通常の使い方であればOKとされています。
「通常の使い方」とは、ポスターを画鋲で留める程度の使い方です。
ビスや釘などは、壁の下地である石こうボードにまで影響を及ぼしてしまう可能性があるので例外となります。
また、冒頭でも触れた賃貸契約書には、画鋲による壁の影響などさまざまな修復について記載されており、その内容が最も効力が強いとされています。
もし、画鋲について書かれていない場合には、家主である大家さんか管理会社に問い合わせてみると良いでしょう。
引っ越しや模様替えの際に壁にあけてしまった大きな穴はどうする?
賃貸マンションへ引越しをする際、または模様替えの際などに、家具をぶつけて壁に穴をあけてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
賃貸物件の場合、退去時に原状回復をしなければならないので「どうにか自分で修復しなくては」と考えがちです。
また、高額な費用を請求されることを避けたいがために、ご自身で修復を試みようとするかもしれません。
しかし、あくまでも賃貸マンションの所有者は大家さんや管理会社なので、勝手に手を加えて修復することは望ましくありません。
壁面には配線や断熱材などがあり、建物の機能上でもとても重要なもので、もしかしたらそちらまで被害が及んでいる可能性もあります。
壁を損傷してしまった場合は、まずは大家さんや管理会社へ報告しましょう。
修復するための業者の手配など、対応をしてくれるはずです。
賃貸住宅の契約では、物件を「借りている」ということを忘れないようにしましょう。
画鋲はOK!?賃貸マンションの壁の扱いには十分気をつけよう!
壁の損傷は、退去時に問題になることがよくあります。
画鋲跡の小さな穴の場合は、ガイドラインではOKとされています。
また、落書きの場合も、キレイに落とすことができるかもしれません。
壁の扱いに迷った際には、大家さんや管理会社へ相談してみましょう。
また、壁を損傷してしまった場合にはご自身で対処しようとせず、必ず大家さんや管理会社へ報告することが大切です。