棚とポールを自由に組み合わせてレイアウトできる人気のメタルラック。
しかも、最近は小さいサイズのメタルラックが、100均のお店で気軽に手に入るようになりました。
しかし、よく耳にするのが、棚の高さを変えたり引っ越しなどで分解しようとして手こずった、というお話です。
棚がかたいと苦労するだけでなく、無理をすると怪我をすることも!
ここでは、メタルラックのかたい棚を、怪我をしないよう安全にそして楽に分解するコツをご紹介します。
少し待って!引っ越しならメタルラックの分解は必要ないかも
ご紹介の前に、1つ質問です。
メタルラックを分解したい理由は「引っ越し」ですか?
もしそうなら、少しだけ待ちましょう。
なぜなら、分解する必要がないかもしれないからです。
メタルラックは1台2台なら大概の場合、そのままの形で運んでいってもらえます。
引っ越し業者は荷物を運ぶ時、メタルラックを先にトラックに積み込んで、その棚に軽めの荷物を積み込んでいきます。
いわば即席の荷台ラックになるので、そのままの形でも全然構わないのです。
引っ越し直前に、かたい棚板と格闘しなくてもいいのだと思うと、こんな楽なことはありませんね。
ただし、キャスター付きは車の振動で動いて荷崩れしたり、壊れたりするかもしれませんので、キャスターだけは外しておきましょう。
一方、廊下やドアを通れないほどの大型ラックは、残念ながら分解が必要です。
L字型や、連結棚を渡して組み上げたものは、せめて通路を通るサイズまで小さくしましょう。
また、それほど大きくなくても、引っ越し先の出入り口を通れないようなら、やはり事前の分解が必要です。
引っ越し業者に問い合わせ、可能な限り詳しい相談をしておきましょう。
余計な分解・組み上げの手間が省け、引っ越し作業もスムーズになりますよ。
かたいメタルラックの分解に必要なのは忍耐とハンマー!
さて、いよいよ分解です。
メタルラックの分解中にありがちなのは、最初に1ヶ所だけ、あるいは短い辺だけ外そうとして動かなくなることです。
棚板は、1ヶ所だけ大きく持ち上げると他の場所に抑える力が加わり、かえってプラスチックの棚板固定部品(スリーブ)にかたくはまり込んでしまうのです。
メタルラック分解の最大のコツは、4隅に均等に力を加えること、そして、いっぺんに外そうとしないことです。
そこで、おすすめしたいのが、ゴム製またはプラスチック製のハンマーです。
ハンマーの形状が効率よく衝撃を伝えるので、驚くほど小さな力でかたい棚板を浮かせることができるのです。
また、柔らかいので叩いた時の衝撃音が少なく、ワイヤーを潰す心配もありません。
業務用なら安いものは500円前後から、高いもので2,000円程度です。
最近では100均でも取り扱っているようですので、1つ用意しておくと便利です。
しかし、「わざわざ買うのはどうも...」という場合には、家にある金槌や木槌でも代用できます。
ただし、金槌では音が響きますし、木槌は割れることがあります。
使用時は、タオルやベニアの切れ端などで当てものをし、衝撃を和らげながら叩いてください。
かたいメタルラックの分解はひっくり返すと楽になる?
メタルラックがかたい時には、上下逆さまで分解してみるのも1つの手です。
メタルラックのスリーブは、上が細く下は太くなっています。
これは棚板が下に落ちないようにするためですが、逆にひっくり返せば、抜けやすいということでもあります。
しかも、上から下へ打ち下ろすので、上に向かって叩くよりはるかに楽です。
ただし、この作業中に注意しなければならないのは、棚板の落下です。
棚板がポールを一気に滑り落ちることがあるのです。
この時、足や手が間にあると怪我をしますので、それを防ぐ方法を考えておかなければなりません。
1つは、誰かと一緒に作業することです。
棚板を叩く係と支える係がいれば、棚板落下時の事故も防げますし、作業効率も上がります。
もう1つは、棚板の下にクッションになるものを置いておくことです。
文字通りクッションを並べてもいいですし、本や雑誌などを積み上げて置くのもいいでしょう。
ただし、大型の棚板に対して柔らかいクッション1つでは、落ちた勢いで手足がはさまることがあります。
落ちた時に隙間ができるよう、そして、なるべく平らに受け止められるよう、置き方には少し工夫が必要です。
かたいと力が入りがち!分解時には防音の気配りも大切
大型のメタルラックを分解する時には、それなりの音が出ることを覚悟しましょう。
柔らかいゴムハンマーを使っても鈍い衝撃音は出ますし、ラック全体に共鳴してグワァーンという音も連続して出ます。
また、棚板をポールから外す時の音も、かなりのものです。
しかも、どれもよく響きます。
それに、かたい棚板に行き当たると、イライラしてつい力が入ったり作業が荒くなったりしがちです。
しかし、大きな音でご近所中を驚かせたり、不快な思いをさせたりすることは、できるだけ避けたいものですね。
そのためには、防音の気配りが必要です。
もっとも防音壁を作るわけにはいきませんので、とにかく作業を丁寧に行いましょう。
そして、作業を2人以上で行ったり、クッションを用意したりして気を配り、いっぺんに終わらせようと作業を急がないことです。
ご近所にひと言声を掛けるのもいいですね。
さらに、作業はできるだけ昼間に行いましょう。
小型のメタルラックでも叩けば音が出ますし、夜は静かな分、音が余計に響きます。
ご近所トラブルを避けるためにも、時間帯を選んでなるべく静かに分解するようにしましょう。
ハンマーでも分解不能なかたいメタルラックには潤滑油を!
メタルラックがかたいのは、棚の荷物の重みでスリーブと棚板の穴の表面にある目に見えないデコボコがかみ合い、ロックのかかった状態になっているからです。
さらに、長年使っていると、汚れやサビがついてロックがますます強固になります。
棚板をハンマーで叩いても動かないほどかたくなったメタルラックには、潤滑油という奥の手を使いましょう。
潤滑油とは、ものの滑りをよくする油のことです。
潤滑油を使えば、油がミクロサイズの隙間に入り込んで滑りをよくし、動きやすい状態にしてくれます。
潤滑油にはたくさんの種類がありますが、メタルラック分解に向いているのは、
・フッ素系潤滑油
・シリコン系潤滑油
の2種類です。
どちらもスプレー式で、細いノズルの付いたものが一般的ですし使いやすいでしょう。
フッ素系は、すぐに油が蒸発するのでベタ付かず、後始末がいらないのが特徴です。
シリコン系は、使用後の油の拭き取りが必要ですが、価格はこちらの方が低めです。
また、隙間がサビや油で固まっているようなら、クレ5-56のようなサビ取り・古い油取り兼用の潤滑剤がおすすめです。
これらの潤滑油をスリーブと棚板の穴の間に吹きつけ、30分ほど待ちましょう。
隙間全体に油が染み渡るまで充分待ってから4隅を叩くと、あっさり抜けてくれるはずです。
潤滑油トラブル解消?台所や狭い場所向けにはこの潤滑油
ところで、潤滑油を使う時の注意点は、換気です。
細いノズルですので1度に大量のガスが出るわけではありませんが、それでも4ヶ所に吹き付けなければなりません。
まして、かたいメタルラックの場合は、分解できるまで、数回か吹き付け直す必要があるかもしれません。
そうすると、それなりの量のガスを噴射することになります。
マスクをして吸い込まないようにし、窓を開け、換気扇を回してガスがこもらないようにしなければなりません。
しかし、それでも臭いで気分が悪くなる方もいます。
このような方には、無香性の潤滑油がありますので、そちらがおすすめです。
また、小さなお子さんやペットがいる場合、あるいはメタルラックが台所に置いてある場合には、万が一口に入っても安全なものを使いたいですね。
そんな時には、フード用のシリコン系潤滑油がおすすめです。
これは、飲食店の調理場で使用する機械のための潤滑油で、食品にかかっても害がないようにできています。
普通のシリコン系潤滑油の倍の値段ですが、それでも430mlで1,000円程度です。
しかも、これら特殊な潤滑油も、普通のものと同じようにドアノブやふすま、シャッター式雨戸など、広い範囲で使えます。
種類も色々でサイズも豊富ですので、どれか1本家に常備しておいても悪くないかもしれませんね。
メタルラック分解の奥義?ハンマーで均等に!そして潤滑油!
メタルラックの分解、特に中型から大型のラックの分解は、ただでさえひと仕事です。
まして、どんなに頑張ってもビクともしなかった場合は、お手上げです。
仕方なく、分解や棚板の移動を諦めてそのまま使い続けている、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、棚板がかたいのは、分解を急ぎすぎていただけかもしれませんし、便利アイテムの存在を知らなかっただけかもしれません。
均等に少しずつ持ち上げること、ハンマーを使ってみること、それでダメなら潤滑油を使ってみてください。
よほど特殊な条件でもない限り、これでほとんどのメタルラックは分解できます。
一息ついたら気を取り直して、もう一度チャレンジしてみてくださいね。