洗面所を造作にするならまずは「鏡」からが基本!

最終更新日:2019/07/31

最近の住宅には、出来合いのものではないおしゃれな造作を施した洗面所が増えてきています。

水回りがきれいで、なおかつお部屋のインテリアとの一体感があると、住空間の快適さ・美しさがアップするのがその大きな要因でしょう。

今回は「洗面所の主役」とも言える鏡に着目して、どうすればセンスの良い造作洗面所を作れるのかを考えてみましょう。

そもそも造作洗面所って?なぜ鏡に注目?

造作洗面所とは、インテリアメーカーなどが予め製品として販売している、いわゆるユニットタイプの洗面台を使用するのではなく、さまざまなパーツを独自のデザインで組み立ててゆくタイプの洗面所です。

鏡、洗面ボウル、水栓などを自由に選んで、家の雰囲気に合わせた洗面所をつくれるので、インテリアにこだわって家を建てたい人・リフォームをしたい人には必須のものと言えます。

こうしたニーズの高まりとともに、現在ではさまざまな形の洗面ボウルなどがメーカー各社から発売されるようになってきています。

おしゃれなお店や新しいビルのトイレに入って、置いてある洗面台に驚いた経験があるのは、おそらく筆者だけではないでしょう。

洗面所にも造作を施すことで家の内装に統一感が生まれるので、限られた空間を広く見せたり、工夫された動線によって日常生活の中での使いやすさを得られるというメリットがあります。

ただ、オリジナルであるがために、センスの良し悪しがダイレクトに反映されてしまうという面があるのも事実です。

その出来栄えを左右する最たるものが、どのような鏡をどのように設置するかにあります。

では、作ってから「失敗した!」ということにならないためには、どんなことに気をつければ良いのでしょうか。

それについては次項からご説明します。

鏡が造作洗面所の印象を大きく左右する理由

「お化粧や身だしなみのチェックさえできればどんな鏡でも良い」と考えている人もいるでしょう。

そのような人は、時間やコストを掛けてまでオリジナルの洗面所を作りたいと思わないかもしれません。

しかし、鏡に他の役割もあればどうでしょうか。

たとえば洗面所付近の窓からの光を全面に受けられるように角度を工夫して設置し、室内を明るくするような効果を狙うことも、造作だからこそ叶えられるメリットの一つです。

その他のパーツの形状に合わせて鏡を選択するということもできます。

また、円形タイプの洗面ボウルと丸窓がある洗面所の鏡が、味気ないスクエアタイプのものだったらどうでしょうか。

鏡だけが浮いた存在になってしまうか、あるいは全体の統一感をすべて台無しにしてしまうことになるかもしれません。

このように、鏡はインテリアのおしゃれ感を左右する大切なパーツであることを意識しておくのはとても大事なことでしょう。

大きければ良いわけじゃない!造作洗面所の鏡のポイント

広々とした洗面カウンターと、それを覆い尽くすような壁一面の一枚鏡に憧れつ人もいるでしょう。

しかし、鏡は大きいほど良いというわけではありません。

たとえば窓の位置やライトの角度などの他のものの設置の仕方によって、大きすぎる鏡がむしろ使いにくさを生んでしまうこともあり得るのです。

これらは、いわゆるカメラの「逆光」のような状態になってしまうことで、目に光が入って見づらく感じるのです。

ユニットタイプの洗面所であれば、このような問題は製品化の段階で解消されることでしょうが、造作の場合はそうはいきません。

デザイナーなどに外注せずにご自分でレイアウトを考えるならば、こうした個々の住居に特有の反射の問題なども十分に考慮するべきでしょう。

そしてもう一つ、全面鏡の問題点として、鏡の裏面を収納として使用しづらいということがあげられます。

造作洗面所では、たとえば洗面カウンターの下の空間には配管以外を何も設置しないという場合など、インテリアを優先した結果として収納が大きく犠牲にされてしまうケースがよくあります。

その際に有効活用したいのが鏡の裏側のスペースなのですが、全面を鏡張りにしてしまった場合、収納にするのは難しくなります。

仮に大きな鏡を設置する場合でも、その他のパーツとの兼ね合いで収納スペースを十分に確保できているかどうかをよく考えるべきです。

もし収納が不足しそうなのであれば、3面や4面に鏡を分けることで、裏面の収納力を確保することも検討するべきでしょう。

鏡の平均的な値段は?造作洗面所の費用

一般的な戸建住宅の洗面所は、だいたい3平米(1坪弱)~5平米(1.5坪程度)ほどです。

マンションなどではもう少し狭いのが普通でしょう。

この非常に限られた空間に造作を施す場合、そのリフォーム費用はいくらくらいになるのでしょうか?

身も蓋もない結論を言ってしまうと、それは「ピンきり」です。

使用する材料や造作の複雑さなどによってお値段はまったく変わってしまいます。

最小限の設備の価格を考慮すると、最低価格帯としては15万円前後になるものと思われますが、こだわり始めると価格は青天井で、最終的に100万円オーバーになってしまうようなこともあり得ます。

ただ、一般的には30万円前後の予算があれば、概ね希望通りの造作洗面所にリフォームできるでしょう。

洗面ユニットの交換と壁紙の張り替え(つまり既製品の取り替え)だけであれば、10万円を切るようなお値段でも可能なので、高いと言えば高い買い物ではあります。

しかし、せっかくリフォームをするのであれば、少しくらい自分のこだわりを反映させたいと多くの人は考えるのではないでしょうか。

鏡単体での費用は(これもピンきりですが)1万円台のものが最も一般的です。

ある程度のサイズや機能(くもり止めのヒーターを内蔵したものなど)を求めると、5万円以上になるようなものもあり、これに設置や造作の費用がプラスされます。

そのため、自分にとって必要なものと予算を考慮した上で、どんな鏡にするか決めましょう。

バランスを考えた造作で快適な洗面所に!

今回は洗面所の鏡に着目していますが、では鏡以外の部分の造作はどのように考えてゆくのが良いのでしょうか。

まず検討するべきなのは、収納とインテリアのバランスです。

収納力に優れていると使い勝手は当然良くなりますが、ただでさえ限られたスペースの洗面所で、更に圧迫感を感じる要因にもなります。

だからと言ってインテリアに重点を置きすぎても、見た目が良いだけで使いにくいという本末転倒な結果になりかねません。

いまお使いの洗面所にどの程度の量の物が置かれているかをきちんと確認して、それらを整理・収納するのに必要十分な収納造作を検討しましょう。

そしてもう一点、造作洗面所ならではの注意点があります。

それは、造作に使用する部材が本当に洗面所向きのものなのか、という点です。

洗面所はその性質上、常に居室とは比べ物にならないほどの湿度に晒されます。

そのため、湿気に強い材質のものを選ばないと、あとで後悔することになります。

たとえば無垢材の床や壁などはとても気持ちの良いものですが、定期的なメンテナンス(表面のコーティングなど)が必要なので、将来的な手間やコストも頭に入れておかないといけません。

「造作洗面所を作りたいけど予算が」という方には鏡だけのアップグレードがおすすめ

前々項で造作洗面所の費用について触れました。

「ちょっと高くて無理かな」と思われた方もいらっしゃると思います。

造作の工事費用が掛かってしまう分、決して安くはないですよね。

そんな方にぜひ検討していただきたいのが、「一部分だけ造作洗面所を作る」という選択です。

おそらく洗面スペースを造作で作るニーズの高まりに合わせてなのでしょうが、現在ではユニット型の洗面台にもさまざまな選択肢があります。

筆者がおすすめしたいのは、「水栓と洗面ボウル部分のみの洗面ユニットを使って、鏡周りだけを造作にする」という選択です。

平たく言うなら、下半分だけを既製品にして、上半分をアレンジするということです。

たとえばくもり止め機能付きの鏡を壁の中心に配置して、その周りをインテリアにマッチしたタイル貼りにするというだけでも素敵な洗面所リフォームになると思います。

洗面所などの水回りは消耗しやすい場所です。

どうせやらなければならない必要なリフォームなのであれば、少しでもご自分やご家族のニーズに沿ったものにしましょう。

洗面所の造作を考えるのはとにかく楽しい!

ここまで鏡を中心とした洗面所の造作について考察してきました。

お洗濯や身支度、お風呂の脱衣スペースなどとして日々使う場所だからこそ、こだわりを持って作る価値があると言えるでしょう。

もちろん最終的にはお財布事情との相談になってくる面も多分にありますが、その許す範囲で、皆さんがご自分にとって最高の洗面所を作り上げるきっかけになれれば幸いです。