木製家具に虫がついている!その正体や駆除方法・対策とは

最終更新日:2019/03/18

ナチュラルな風合いで人気の木製家具ですが、ときに害虫の餌食となってしまうことがあります。

今回は、その虫の正体や生態をご紹介しながら、駆除する方法と対策についても学んでいきましょう。

お気に入りの木製家具が台無しになってしまう前に、予備知識を身につけておきたいですね。

木製の家具を食べてしまうのは「キクイムシ」

木製家具に目を向けたとき、その周辺に「白っぽい粉」が落ちていたら危険信号です。

さらに、1~2ミリ程度の小さな穴があいていたら、それは「キクイムシ(木食い虫)」の仕業かもしれません。

キクイムシは、テーブルやイスなどの木製家具を好んで食べてしまう昆虫です。

まずはじめに、その特徴を見ていきましょう。

【名称】キクイムシ(学名:Lyctus brunneus)

【形態】体長は3~8ミリ程度で赤褐色、幼虫は黄白色をしていて5ミリ程度にまで成長する

【分布】熱帯・温帯地域、日本全国にも分布している

<キクイムシの生態について>

寿命は約一年で、幼虫のときに木材を食べます。

成虫になるのは5~8月頃で、気温や湿度が高くなる時期です。

メスは木材の導管(水分を通す役割を担っていた組織)に50~100個もの卵を産み、孵化した幼虫は外に出られるようになるまで木材の中で過ごすことになります。

以上がキクイムシの生態です。

木製家具だけでなく、建築部材やフローリングにまで被害が及ぶことがあり、大変厄介な存在と言えるでしょう。

また、冒頭でお話しした「白っぽい粉」の正体は、成虫となったキクイムシが穴をあけたときに出る「木屑」です。

人間に直接害を及ぼすわけではありませんが、家具の内部に虫が潜んでいると思うと、ゾッとしますよね。

木を食べる虫!どんな木製家具に注意すべき?

続いては、キクイムシが発生しやすい条件についてお伝えします。

キクイムシは全ての木材を食べるわけではありません。

《①デンプン質が豊富な木材》

キクイムシは乾燥木材のデンプン質を好みます。

木材の中心部分よりも、樹皮に近い木材にはデンプン質が多いようです。

《②新しい木材》

古くなった木材は、デンプン質が変質してしまいます。

そのため、伐採されてからそれほど年月が経っていない木材のほうが食害されやすくなります。

《③広葉樹》

導管のある広葉樹は被害を受けやすくなります。

ケヤキ、ナラ、カシ、キリなどが代表的でしょうか。

スギやヒノキは針葉樹なので、キクイムシの被害には遭いにくいとされています。

《④輸入されたラワン材》

熱帯地域から輸入されてきたラワン材は、卵や幼虫が潜んだまま持ち込まれている可能性があります。

そのため、海外製の「輸入家具」には注意したほうがいいという声もあります。

《⑤竹材》

栄養の残っている竹材も食害される恐れがあります。

竹繊維に沿って食べ進め、ボロボロにされてしまうことがあると言います。

キクイムシは、このような条件で発生します。

次項では、気になる対処法についてお話ししていきましょう。

キクイムシの駆除方法~木製家具の場合~

それではここから、キクイムシの駆除方法をご紹介します。

木製家具が狭い範囲で被害を受けてしまった場合には、自らの手で対処してみましょう。

<成虫の場合>

家具の外に出てきた成虫であれば、市販の不快害虫用エアゾールを吹きかけましょう。

至近距離で噴射すると吹き飛んでしまうので、少し離れたところからスプレーするのがおすすめです。

他には、燻煙式の殺虫剤でも効果が見込めます。

<幼虫の場合>

家具の内部に潜んでいる幼虫にも、エアゾールタイプの殺虫剤が有効です。

また、木材加害虫専用の駆除スプレーを用意するのもいいでしょう。

※必ず「針ノズル」が付属しているものを選んでください。

幼虫を駆除していく場合には、成虫が出てきた穴に針ノズルをさして薬剤を注入します。

念のために、その穴の付近にも数箇所穴をあけて、同様の処置をしておきます。

この作業を数時間おきに繰り返せば、より高い効果が期待できるでしょう。

殺虫剤を利用する際は、安全面に配慮しながら換気を怠らないようにしてください。

キクイムシ対策!産卵を予防するにはどうすればいい?

キクイムシの駆除作業が完了したとしても、まだまだ油断はできません。

薬剤の届かない場所に幼虫が潜んでいれば、また食害が進んでしまうことになります。

さらに、生き残った成虫が再び木製家具に産卵してしまう恐れもあるのです。

このような事態に陥らないためには、予防策も欠かせませんね。

基本的な対策方法を二つご紹介します。

【①木製家具の表面に駆除スプレーを噴射する】

成虫の産卵予防として、木材の表面に駆除スプレーを吹きかけておきましょう。

産卵期となる5~8月頃にスプレーするのがおすすめです。

【②木製家具の表面にニスを塗っておく】

対象となる木製家具に、ニスなどの塗料や木材防腐剤を塗っておくことで、メスが産卵することを防げます。

木材表面をコーティングするようなイメージですね。

このような対策を行い、一年程度は様子を見てください。

しかしながら、木材の奥深くに入り込んだ幼虫まで、完全に駆除していくことは難易度の高いことです。

心配な方は、専門の害虫駆除業者に相談することも検討してみてください。

高熱に弱い害虫!家庭での熱処理駆除は可能?

ここまで、木製家具に発生したキクイムシを駆除する方法や対策についてお話ししてきましたが、「害虫駆除なら熱処理も効果があるのでは?」と、疑問に思う方がいらっしゃるかもしれません。

たしかにキクイムシは高熱に弱く、50~60℃の熱処理で殺虫することができます。

害虫駆除業者においては、強力なスチーマーを使って対処することもあります。

しかし、ご家庭にあるヘアドライヤーやスチームアイロンで、木材の中に潜む幼虫や蛹、卵を駆除するのは困難だと言えます。

ヘアドライヤーの温風を厚みのある木材に当て続けても、なかなか目標温度に達することができないからです。

木材の温度を60℃まで上げるとなると、相当な時間がかかってしまいます。

そのため、前述したようにキクイムシに効果を発揮する殺虫剤などで対処していくほうが現実的です。

木製本棚に白い虫!?「チャタテムシ」にも要注意

最後に補足情報として、「チャタテムシ(茶立虫)」という害虫についてご紹介します。

本や漫画を収納している木製本棚に、白くて小さいダニのような虫が大量発生していたら、それはチャタテムシかもしれません。

チャタテムシは木製家具を食べることはありませんが、アレルギーの元となることがあります。

カビやホコリを好むので、湿気の多い場所に発生し、古本や家具、畳、ダンボール箱などには注意が必要です。

まれに、乾燥植物質である穀類や乾麺などの保管場所に発生することもありますから、キッチンであっても油断なりませんね。

繁殖力が強く、短い期間で大量に発生してしまうのが厄介なポイントです。

そんなチャタテムシを見つけたら、徹底した掃除と除湿を行いましょう。

カビの発生を抑えることができれば、チャタテムシ対策となります。

大切な木製家具を害虫から守ろう!

家具から虫が発生してしまえば、どんなにおしゃれなインテリアでも魅力が半減してしまいます。

生活に支障をきたすこともありますから、対策が必要だと感じたら実行してみましょう。

もしも害虫が発生し、被害が食い止められないようでしたら、専門の駆除業者に依頼してみてください。

快適な日々が送れるよう、この記事を参考にしていただけたら幸いです。