住宅の床材に無垢のフローリングとして「杉」がよく使われます。
杉は住環境に適した木材で、優れた点が多くあります。
また、杉を始めとする無垢材のフローリングに欠かせないのがワックスがけです。
少々手間に感じるメンテナンスですが、ワックスをかけることでさまざまなメリットがあります。
この記事では、杉のフローリングで心地良く暮らすためのメンテナンス方法をご紹介します。
無垢材のフローリングで「杉」が選ばれる理由とは?
「杉」は、日本人にとって馴染みのある国産の木材ですね。
無垢のフローリングを検討する際には候補に挙がる木材のひとつでしょう。
そんな杉の特徴は、針葉樹ならではの柔らかさと温かさです。
杉の無垢板の上を素足で歩くと、歩行の衝撃を和らげてくれるような柔らかさに気付くはずです。
また、杉は空気を多く含んでいる木材のため保温性や断熱性に優れ、寒い冬場でも足元がヒヤっとする不快感が軽減され快適に過ごすことができます。
さらに、湿気が多いときには木材に水分を吸い込み、乾燥しているときは吐き出してくれる調湿効果にも優れています。
そのため、お部屋の中を快適に保ち、湿気の多い季節でも床がジメジメすることがなく、素足で歩いてもサラっとしています。
このように、杉は保温性・断熱性・調湿効果など、住む上でのメリットを多く備えた建材として人気が高いのです。
しかし、天然素材がゆえに、「杉は扱いづらいのではないか」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるはずです。
次項からは、杉のデメリットにも注目し、ワックスでのメンテナンス方法についても見ていきましょう。
杉のフローリングにもデメリットがある!
前項では杉のフローリングが選ばれる理由として、「優れた点」に注目しました。
しかし、杉にもデメリットがありますので、しっかり把握しておきましょう。
まずは、柔らかい木材であるがゆえに、傷がつきやすいという点です。
これは、どの無垢材にも言えることですが、杉は特に柔らかいため、フローリングに物を落とすと簡単に傷が付いてしまったり、ひび割れに繋がるケースがあります。
そのため、少しの傷でも気になってしまうという方にはあまりおすすめできない木材とも言えます。
また、合板フローリングに比べると費用が割高になることが多いでしょう。
杉は産地や年輪、節などによって価格が変わるので一概には言えませんが、美しさを重視すると、それなりに費用も掛かります。
さらには、水分を吸い込みやすいので飲み物などをこぼすと高確率でシミとなってしまうため、表面にはワックスなどでコーティングをしておくことをおすすめします。
ワックスがけなどの表面処理をしておけば、撥水作用によってカビを防ぐ効果も期待できます。
次項では、ワックスがけについてさらに詳しくお話しします。
杉のフローリングにワックスをかけるメリットとは?
杉のフローリングには、1年に1度ワックスがけをすることをおすすめします。
ワックスをかけることで、さまざまなメリットがありますのでご紹介します。
■撥水効果
前項でも触れたように、杉は水分を吸い込みやすい特徴があるため、水や飲み物をこぼすとシミができやすい材質です。
湿気が多い環境だと、そこからカビが発生する恐れがあります。
コーティングすることで、シミやカビの防止に繋がります。
■汚れ防止
表面に何もコーティングしていない状態では、少し汚れた手で触れただけでも手の跡が付いてしまったりと、非常に汚れやすいです。
■美しい見た目を長持ちさせる
杉は空に向かって真っすぐに成長する木であり、直線的で美しい木目が特徴的です。
その美しい見た目を長持ちさせるためにも、ワックスでのメンテナンスは不可欠と言えます。
杉のフローリングのワックスがけにおすすめ!「蜜ロウ」とは?
杉のフローリングにワックスがけをするメリットはたくさんあることが分かりました。
杉本来の美しさを活かし快適に過ごすためには、ぜひワックスがけは1年に1度行いたいメンテナンスですね。
ここでは、杉のメンテナンスにおすすめの【有限会社小川耕太郎∞百合子社:未晒し密ロウワックス】をご紹介します。
蜜ロウワックスは、ミツバチの成分とエゴマ油だけで作られた天然素材100%のワックスです。
そのため、小さいお子さんのいるご家庭でも安心して使うことができます。
ワックスと聞くと臭いがきついイメージをお持ちの方もいらっしゃると思いますが、蜜ロウワックスは鼻をつく独特の嫌な臭いをほとんど感じません。
その実力も確かなもので、木材の劣化を防ぎ、杉本来の色つやを引き出してくれる効果が期待できます。
杉の木目が深くなり、経年と共に変化する木の表情を楽しむことができるワックスなのです。
撥水効果が長持ちするため、メンテナンスは1年~2年に1度でOKというのも嬉しいポイントです。
次項では、実際の蜜ロウワックスのかけ方をご紹介します。
杉フローリングのメンテナンス!蜜ロウワックスのかけ方
それでは実際に、蜜ロウワックスのかけ方をご紹介します。
広範囲を行うときには少々重労働となりますが、覚悟して行う価値があるはずです。
《準備する物》
・未晒し密ロウワックス(杉にはCタイプがおすすめ)
・木ヘラ(スプーンでも良い)
・スポンジ
・ウエス
《手順》
①周辺に蜜ロウワックスが付かないよう、巾木部分などを養生する
②蜜ロウワックスが固まっている場合は、バター状になるよう木ヘラで軽くかき回す
③スポンジに小さじ1くらいの蜜ロウワックスを取る
④杉のフローリングの場合、蜜ロウワックス小さじ1で約0.4m²を目安に塗り広げる
⑤お部屋の隅から丁寧にスポンジで塗り広げ、塗り残しがないか確認する
⑥ウエスで乾拭きをし、手で触ってワックスがベタっと残っていないか確認する
⑦フローリングがサラっとするまで丁寧に乾拭きをする
⑧再度スポンジに小さじ1くらいの蜜ロウワックスを取り、横のスペース約0.4m²を同じように塗っていく
⑨この繰り返しでお部屋全体にワックスをかける
厚塗りすると乾きづらくなり、アリが来やすくなるので注意が必要です。
上手に塗るコツは、薄く伸ばして塗ることです。
初めての方でも行えるメンテナンスなので、ぜひチャレンジしてみてください。
杉のフローリングの傷や凹みの対処法
これまで、杉のフローリングの魅力、そしてワックスでのメンテナンスの方法についてお話ししてきました。
最後に、杉のフローリングに傷や凹みができてしまった場合の対処法をご紹介します。
デメリットとしても挙げましたが、杉のフローリングは非常に傷が付きやすいです。
物を落とすとすぐに凹んだりもします。
杉のフローリングを選ぶ際は、傷に対してある程度の覚悟が必要ですが、どうしても気になる傷ができてしまった場合は、下記の対処法をお試しください。
《準備する物》
・水
・布など
・アイロン
《手順》
①傷が付いた部分に水をかける
②あて布をして上からアイロンをかける
たったこれだけです。
杉が水分を含んで膨張するため、凹んだ傷が修復されるのです。
この方法で対処すれば、浅い傷の場合はほとんど目立たなくなるでしょう。
ぜひお試しください。
杉のフローリングには手を加える楽しさもある!
天然木である杉のフローリングには、素足で生活するのが心地良くなるような優れた点がたくさんあります。
一方で、デメリットもあります。
杉の特徴を活かし、デメリットを補うワックスがけはぜひ行いたいメンテナンスですね。
セルフメンテナンスは手間がかかり少々大変ですが、自ら手を加える分、家への愛着も深くなることでしょう。
暮らしの中で避けられない傷や劣化に対処しながら、経年劣化による木の表情を楽しみ、心地良い暮らしを送ってください。