家具を買おうと、ネットのサイトやカタログのサイズ表記を見て困るのが、数字と共に書かれた「W×D×H」や「L×W×H」などの略字記号です。
ものの大きさを表すには「縦・横・高さ」が必要ですから、それらを指していることは何となく分かります。
しかし、やはり家具のサイズはきちんと把握してから買いたいものです。
ここでは、正確な家具の大きさを知るために必要なサイズ表記の意味と種類を、家具の種類ごとにご紹介します。
家具のサイズ表記には決まりがない!
家具のサイズ表記には、実は厳格な決まりがありません。
どこのサイズをどんな順番で表示してもいいのです。
しかし、習慣的なものはあり、普通はそれに従って表示されています。
例えば、家具の場合、「縦・横・高さ」の3つの数字のうち「高さ」は普通3番目です。
その他の数字は「縦と横」、家具の場合は「幅と奥行き」になります。
どれが幅で奥行きなのかは、家具によって違います。
一般的に、家具にはタンスのように誰が見ても分かる「正面」があるものです。
その正面に立って向き合い、横に両手を広げた方向を「幅」、正面から奥に向かっていく方向を「奥行き」と呼びます。
テーブルの場合は、基本的に長い方の辺が「幅」で、短い方が「奥行き」とされることが多いです。
そして、①「W:幅」②「D:奥行き」③「H:高さ」の順に表示するのが基本です。
ただし、カタログの見やすさをアップさせるために、表示の順番を敢えて変えている場合があるのです。
やはり、記号の知識があった方が間違いは起こりにくいかもしれません。
家具の大きさ入門!サイズ表記の基本を見てみよう
「W×D×H」は、床置きタイプの家具のサイズ表記です。
床置きタイプの家具とは、食器棚や本棚、ラック、テーブル、家電に椅子やソファなど、床に置いて使用する家具のことです。
つまり、ほとんどの家具がこの条件に当てはまるので、「W×D×H」が最も多く見かけるサイズ表記となります。
●W×D×H
W:幅(ウィズ/ワイズ:Widthの略)
D:奥行き(デプス:Depthの略)
H:高さ(ハイツ:Hightの略)
単位は、「mm(ミリメートル)」が一般的ですが、「cm(センチメートル)」もよく見かけます。
気をつけなければならないのは輸入家具で、単位が「inch(インチ)」の場合があるのです。
1インチは2.54センチメートル、1センチメートルの約3分の1です。
「サイズの数字が小さすぎる」と感じる場合は、インチかもしれません。
その時は、インチかどうかを確認し、サイズ表記に載っている数字に2.54を掛けて、センチメートルに直してください。
同じ床置き家具でもちょっと違う!ベッドのサイズ表記の方法は?
同じ家具でも、違う表記を使うことがあります。
ベッドやマットレスも床に置いて使う家具ですが、表記は「L×W×H」を使うのが一般的です。
●L×W×H
L:長さ(レングス:Lengthの略)
W:幅
H:高さ
「D:奥行き」の代わりに「L:長さ」が使われ、順番も違います。
この「長さ」とは、仰向けになって寝た時の縦方向(長い辺)のことです。
また、「高さ」は、マットレス付きベッドなら床からマットレスの上までの高さ、マットレス単体なら厚みのことを指しています。
例えば「L2000×W1000×H700(mm)」のシングルベッドがあったとしましょう。
これは、縦方向2メートル、横方向1メートルのベッドで、横たわった時の高さが床から70センチメートル、という意味です。
ただし、これだけではマットレスのサイズやヘッドボードの高さ、枕元の宮(小さな物置き)の有無やサイズなどは分かりません。
それらの情報は別の部分に掲載してあるはずですから、そちらを参照することになります。
椅子には椅子のオリジナルサイズ表記があった!
椅子やソファも床置き家具ですから、基本的には「W×D×H」を用います。
しかし、座る部分(座面)に関するサイズ表記も必要です。
座面の場合は、以下のように表示します。
●SW×SD×SH
SW:座面の幅(Seat Widthの略)
SD:座面の奥行き(Seat Depthの略)
SH:座面の高さ(Seat Heightの略)
一見全く違うもののように見えますが、「W・D・H」の前に座面(シート)を表す「S」が付いているだけです。
●φ(ファイ):円形製品の直径
これは、断面が丸いものを表す時によく使われる記号です。
椅子の場合は、丸椅子の座面の直径を表します。
●P:人(Personの略)
座面がいくつあるかという表示です。
「2P」「3P」となっていれば、それぞれ2人がけ3人がけの椅子やソファのことです。
●シーター(Seater):○人掛けの
2シーター、3シーターという呼び方もよく使われます。
こちらも覚えておくと便利です。
サイズ表記がたくさんある!外寸と内寸のある家具
収納家具でよく目にするのが、外寸と内寸ではないでしょうか。
「外寸」は、家具の外側を測ったものです。
普通、サイズといえば外寸のことを指しています。
一方「内寸」は、ものを収納する部分(引出し・扉・棚などの内側)の広さを「W×D×H」表記したものです。
理由は、家具の板には厚みがあるため、どうしても内側のサイズが外側より小さくなってしまうからです。
また、家具が引出しや棚で細かく仕切られていれば、そのサイズ情報も必要ですね。
「引出しが思ったより浅く、以前使っていた衣類の仕分けボックスが入らない」
「本棚にワイド版のA4ファイルが入らない」
といったトラブルは、内寸を確認しなかった場合に起こりがちです。
決まった大きさのものを入れたい場合には、内寸をしっかり確認しておいた方がいいでしょう。
しかし、実際には、内寸を全部表示してある家具はそれほど多くありません。
「A4サイズの書類が入る」など、別の表現でサイズを表現していることがありますので、そちらも参考にしてみましょう。
冷蔵庫や電子レンジには隙間が必須!家電類のサイズ表記
設置する時、壁との間に隙間を空ける必要のある家具が家電類です。
家電は振動したり熱を発したりしますので、それらをうまく逃がすための空間が必要なのです。
例えば、冷蔵庫は、庫内を冷やした時に発生する熱を放熱板で発散させ、温度を低く保ちます。
最近の冷蔵庫は放熱板が側面や天井部分にあるので、背面を壁にぴったり付けても平気なものが増えました。
しかし、排熱板がどこにあるかは冷蔵庫によって違います。
うっかり放熱板のある部分を壁に付けてしまうと庫内の冷えが悪くなり、電気を余計に使うことになるのです。
また、電子レンジや洗濯機も隙間が必要です。
壁に近過ぎると、電子レンジなら長期間の熱による事故の心配が、洗濯機なら脱水時の揺れで壁にぶつかって傷が付いたり壊れたりする心配があるからです。
そのため、どの使用手引書にも「壁から○センチメートル離して設置してください」と必ず書いてあります。
家電を買う時には、この見えないサイズ表記も意識しなければなりません。
取扱説明書にはきちんと書いてありますので、できれば家電売り場などで事前にチェックするのがおすすめです。
最近は、ネットで取扱説明書の閲覧ができるものも増えましたので、日本の大手家電メーカー製ならサイトでチェックしてもいいでしょう。
家具の大きさは「W×D×H」と「L」が分かればほぼ大丈夫
家具の種類によってサイズ表記が少し違うのは、その家具の特徴によるものです。
特に椅子類は、見るべきポイントがたくさんあるので略字記号が増えてしまうのです。
しかし、結局のところ、家具の大きさ(外寸)については
「L:長さ」「W:幅」「D:奥行き」「H:高さ」
の4つに集約されます。
これらは家具以外でも使われていますので、知っていると何かと便利です。
これを機に、この4つだけでも覚えておくといいかもしれませんね。