カーペットを洗濯したら、黄色い粉が落ちてきたことはありませんか。
そもそもカーペットから落ちる粉は、製造時に使われるラテックスという糊が劣化して、粉状になったものです。
洗濯によってなぜこの粉が出てくるのか、なぜ黄色なのか、吸い込んでも問題ないのかなどの、気になる疑問を解決していきましょう!
カーペットの構造や、製造時に使用されるラテックスの性質まで掘り下げて、黄色い粉の謎に迫ります。
洗濯したカーペットから粉が落ちる原因は?
カーペットを洗濯した際に、黄色い粉がポロポロとたくさん落ちてきて、驚いたことはないでしょうか。
この黄色い粉が何であるかは、とても気になるところです。
ここでは、黄色い粉が何であるかを追求する前に、まずは洗濯時にカーペットから粉が落ちてくる原因について考えてみましょう。
カーペットの構造を詳しく見ていきます。
カーペットの中で最も一般的で、大量生産しやすいといわれているのが、タフテッド構造と呼ばれるものです。
このタフテッド構造の特徴は、カーペットの基布にミシン針で多数のパイル糸を植え付けていくことです。
基布の裏に出てしまった縫い目を、ラテックスという糊を使ってコーティングして固定し、さらに裏地を貼り付けていくのです。
実は、この糊の役割を果たしているラテックスは、劣化するともろくなり、粉状に変化します。
つまり、洗濯時にカーペットから粉が落ちる原因は、タフテッド構造のカーペットに使用される、ラテックスの劣化にあるということが分かります。
ラテックスが劣化する原因を知っておこう!
ここでは、どのような状況下において、カーペットに使用されているラテックスが劣化しやすいかを考えてみましょう。
洗濯後に黄色い粉がたくさん落ちていることから、洗い、すすぎ、脱水、乾燥に関連する行程中に、劣化する原因が潜んでいることが分かりますね。
ここで、ラテックスの弱点とされる特徴を挙げてみます。
●高熱に弱い
●紫外線に弱い
●強い衝撃に弱い
●汗などの塩分に弱い
この4点を踏まえてまとめてみましょう。
直接肌に触れるカーペットは、汗に含まれる塩分や皮脂汚れから洗濯が必要になってきます。
この時点で既に、カーペットに使用されているラテックスは劣化をはじめているともいえますが、コインランドリーや自宅の洗濯機を使用すると、さらにラテックスの苦手とする「強い衝撃」が加わります。
強い衝撃による劣化を少しでも避けるために、洗濯機を全く使わずに自宅で踏み洗いした場合でも、天日干しをして直射日光に長時間当てて乾燥させれば、劣化を進めていくことになります。
また、熱に弱いことから、コインランドリーにあるタンブラー乾燥機の使用が、ラテックスの劣化を引き起こす原因になることは想像がつきますね。
このように、カーペットを洗濯するどの工程にも、ラテックスを劣化させ粉状に変化させる要因が含まれていることが分かります。
洗濯したカーペットから落ちる黄色い粉の正体は?
さて、ここから本題に入りましょう。
今回は、洗濯によってカーペットから落ちてくる黄色い粉が何であるか、その正体をしっかり判明させなければなりません。
ラテックスが劣化し粉状になったものが含まれていることは、前章の説明からも既にご理解いただけていると思います。
しかし、何故粉の色が黄色いのでしょうか。
ここで、カーペットの裏地を見ていただくと、黄色い粉の正体が分かります。
裏地に使われる素材の種類は様々ですが、一般的なタフテッド構造のカーペットの裏地には、不織布や麻などが使われることが多いようです。
このうち、天然の麻は乾きやすい素材で、乾燥すると粉状になります。
カーペットの裏地素材の中で、最も落ちやすいといわれているのが麻になります。
また、麻の色は黄色っぽいベージュですね。
つまり、洗濯によって劣化し粉状になったラテックスに、裏地の麻が混じったものが、黄色い粉の正体ということになります。
カーペットから落ちる黄色い粉!人体への影響は?
黄色い粉の正体は分かりましたが、この粉は人の体に有害なものではないのでしょうか。
カーペットを敷いたお部屋では、素足で過ごすこともあれば、テレビなどを見ながら寝転がることもあります。
小さいお子さんなら、カーペットの上でハイハイしたり、寝返りを打ったりもしますよね。
このように、カーペットは肌に直接触れるものですので、洗濯後に黄色い粉が落ちているのを見れば、有害なものでないのかが気になるのは、とても自然なことです。
黄色い粉の正体の1つである麻は、一般的によく知られた天然素材ですので、人の体に影響を与えるものではないことが分かりますね。
しかし、もう1つの正体ともいえるラテックスがどんなものか、その成分を把握している方は多くはないでしょう。
ラテックスの接着剤が劣化して出てくる粉は、「炭酸カルシウム」といわれています。
この炭酸カルシウムは、石灰石や貝殻、代理石に含まれる成分と同じものです。
身近なもので例を挙げるなら、チョークといえば分かりやすいでしょうか。
チョークの粉を吸い込んでも肺の中で溶けてなくなり、人の体には無害であるとされています。
チョークと同じ成分と考えますと、炭酸カルシウムは有害ではないという話にもなってくるでしょう。
このことから、洗濯によってカーペットから落ちる黄色い粉は有害ではないといわれています。
しかし、ラテックス自体に関しては、アレルギーや喘息を引き起こす可能性はゼロでないでしょう。
黄色い粉の落ちやすいカーペット!洗濯時の注意点は?
1度黄色い粉が落ち始めたカーペットは、どんなに粉を掃除機で吸い取っても、元どおりにはなりません。
むしろそのまま使い続ければ、ラテックスがどんどん劣化し、裏地の麻もボロボロになってしまいます。
しかし、上手にメンテナンスすることで、ラテックスや裏地の劣化を遅らせることは可能です。
メンテナンスで特に気をつけなければならないのが、カーペットの洗濯です。
前章で示した通り、汗や皮脂汚れがラテックスの劣化にもつながるので、洗濯すること自体はとても重要なのですが、カーペットの素材にあった最適な洗濯方法であるかの見極めが必要になってきます。
洗濯表示を確認し、洗濯機不可のものは必ず踏み洗いで汚れを落としましょう。
また、天日干しがカーペットの裏地やラテックスに負担をかけるため、直射日光を避けた陰干しでしっかり乾かします。
コインランドリーを利用する場合も、まずは、洗濯表示の確認から行います。
「タンブラー乾燥禁止」という表示がなくても、裏地が麻や不織布のものは、コインランドリーにある乾燥機は使えません。
特に、黄色い粉が落ちる可能性の高いカーペットでしたら、日々のメンテナンスは部分的な拭き掃除で行い、どうしても汚れが気になるときにクリーニングを利用することをおすすめします。
黄色い粉だけじゃない!白い粉が出ることも!?
ここからは補足になりますが、カーペットを洗濯した際に落ちるのは、黄色い粉だけではありません。
黄色以外に、白い粉がボロボロ落ちてくることもあるといわれています。
基本的に、タフテッド構造のカーペットに使われているラテックスが劣化し、粉状になったものが落ちていることに変わりはありません。
白い粉の正体は、劣化したラテックスに、カーペットの裏地である白っぽい色をした不織布が混ざったものだといわれています。
また、裏地に不織布が使われているものの中でも、特に洗濯時に注意が必要なのが薄手のカーペットです。
カーペット自体が薄い分、貼り付けたラテックスが裏地の不織布まで浸み出し、カラカラに乾いて粉状になりやすいようですね。
黄色い粉と同様に、白い粉も人の体に有害なものではないと考えられています。
まずはカーペットに使用されているラテックスの劣化防止のためにも、洗濯表示などの確認をしてから、的確な方法で洗濯することを心掛けましょう。
カーペットから粉が出たらそろそろ買い替えのサイン!
カーペットから粉が落ち始めたら、それは買い替えのサインです。
この粉は、カーペット製造時に使用されているラテックスという糊が劣化し、粉状になったものといわれています。
もろくなったラテックスは、1度粉状になってしまうと、もう元の形状には戻りません。
ラテックスが急激に劣化するのを避けるため、洗濯には十分気を使い、それでも粉が落ち始めたカーペットは、買い替えも考慮に入れてみましょう。